コニャックの生産に欠かせないもの。
ブドウはもちろんですが、他にも醸造タンク、蒸留器、熟成のための樽、そして瓶やラベルなど様々なものが必要です。
「グレゴワ」の正体
今回は、その中で「収穫機」にスポットを当ててみたいと思います。
コニャックのほとんどの生産者は、機械でブドウを収穫します。
機械で収穫する理由は色々ありますが、そのスピードも理由の一つではないでしょうか。
ワイン用のブドウ畑ではなく、フランスのブドウ栽培面積ランキング等には入らないのであまり知られていませんが、コニャック生産地はフランスで最も広いブドウの栽培面積を誇っています。
この広いブドウ畑から採れるブドウを一番いいタイミングで収穫するために、収穫機は欠かせません。
コニャックに来て驚いたことの一つに、生産者は「収穫機」と言わずに「グレゴワ」と言う人が多いこと。
最初はよくわからず、コニャックでは「グレゴワ」と呼ぶのだなぁと思っていたのですが、実は収穫機シェア世界No1の会社の名前です。
ブドウの樹を傷つけずに収穫
このグレゴワ、コニャックに本社があるので訪問してきました。
Grégoire(グレゴワ)家が始めたGrégoire(グレゴワ)社がコニャックに誕生したのは1970年のことです。
それより前は別会社の流通業を行っていたので、この時には既に沢山の知識を有していました。
その後、企業買収等もあり、現在は収穫機の世界シェアの80~95%を担う会社へと成長しました。
このグレゴワ社の収穫機の凄いところは、ブドウの樹を傷つけずに収穫できること。
ブドウの木を挟んで揺らすことで、翌年、翌々年と続くブドウの幹を傷つけずに収穫できます。
そして機械収穫の場合、実だけが収穫されるのでそのままタンクに入れることができ、ブドウの酸化を減らすことが出来ます。
グレゴワ社の機械本体は、他社のそれより高いそうですが、どうしてこれほど売れているのかと聞くと、手入れにかかる手間や費用、そしてガソリン代が他社より安いとのことです。
そして何よりも、機械が必要なくなった場合にグレゴワ社が高く買い取ってくれるというのが利点でしょう。
というのもグレゴワ社ではレンタカーならぬ、レンタ収穫機を行っていて、買い取った機械を自社で整備してレンタルも行っているからだそう。
そして、農作業においては農作物が主体で機械はそれを助けるものであるという考えを持っているので、作業者ができるだけ簡単に操作できるように操作パネルを大きく、ボタンを少なくしているのも魅力の一つです。
また、現在では本体そのままに後ろの設備を変えることが出来るものも販売していて、1台で色々な畑作業が行えるようになっています。
黄色いトラックを見かけたら・・・
現在はオリーブの収穫や、その他畑作業に使える機械含め30シリーズほどが販売されていて、日本でも使っているワイナリーがあるとのこと。
ブドウ畑の中で一等目立つ黄色いトラックを見つけたら、グレゴワ社の製品かもしれません。
今後も成長していくであろうGrégoire(グレゴワ)社から目が離せません。