みなさんはHARDY(ハーディ)というコニャックを飲んだことがありますか?
私はハーディのコニャックを頂いたことはあるものの、訪問したことがなかったので行ってきました。
待ち合わせは邸宅。コニャックの中心地から車ですぐです。ハーディ夫人(Bénédicte HARDY/ベネディクト・ハーディ氏)が迎え入れてくれました。私は生産者訪問前には必ず予約するのですが、訪問の数日前に偶然お会いしていたので「待ってました!」と満面の笑顔で迎え入れていただいたのを覚えています。その後、夫人の車でセラーマスターの待つ熟成庫セラーへ。
美しいカラフェに入れられたコニャックはコレクター心をくすぐりますが、もちろん中に入っているコニャックもセラーマスターが伝統と誇り、こだわりを持って製造しています。
ここ、ハーディは120ものブドウ栽培者と長年取引をしています。2013年からオーガニック栽培されたブドウも購入していますが、今まで付き合いのある信頼できる農家とのみ取引をしているとのこと。ちなみにコニャック全体でオーガニック栽培されたブドウは1%程度だそう。
訪問して私が一番興味深いと思ったのが、コニャックの割材へのこだわり。蒸留や熟成に注目されがちですが、割材もコニャックの性格を決めるのに重要なファクターの一つです。蒸留が終わったコニャックのアルコール度数は71%程度。熟成によってアルコール度数は下がっていきますが、販売時(大抵40%)よりは高いです。そのために必要であればコニャックを蒸留水で割るのですが、ここハーディでは蒸留水に少しのコニャックを加え樽で熟成したものを割材として使用しています。この割材はプルーンの香りを感じる、色もとても濃いものでした。ちなみに水だけで熟成するともちろん腐ってしまうので、品質を確保するために少量のコニャックを入れています。
また熟成の時に使用している樽は350ℓとコニャックでは少し大きいものを使用しています。今までの経験により、この大きさがコニャック・ハーディの熟成にとって最も良いとのこと。
豪華なコニャックの試飲もさせて頂きました! カラフェに入った美しいボトルはその品質も侮れません。個人的にはどの製品もスパイスが印象的でした。スパイスと言ってもバニラやサフラン、カルダモンや白胡椒など。もちろん製品によって感じる香りは様々ですが、これらのスパイスとフルーツやチョコレートなどの深い香り、さらに口当たりの柔らかさのバランスがとても良いのです!
やはり生産者を訪問すると、いい意味で製品への印象が変わります。気高いイメージのあったハーディですが、複雑で、高貴で、でも寄り添ってくれるコニャックは、あの大きな笑顔のハーディ夫人にしか造れない製品でした。