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ラムとは?ラムの種類・造り方・楽しみ方:もっと洋酒を楽しむためのFirst Step~ラム~

奥深いラムの世界を探る ~もっとラムを楽しむために~

ラムってどんなお酒?

ラムといえば、南の島のお酒や海賊のイメージでしょうか。ビーチサイドのトロピカルなカクテルなどを思い浮かべるかもしれませんね。

ラムの原料はサトウキビ

ラムの原料はサトウキビです。サトウキビは元々高エネルギー食として栽培されていましたが、のちに砂糖を造る原料となり、品種改良が進み世界中に広まっていきました。

サトウキビ収穫

イネ科の多年草で寿命は8~10年程度、太さ4~6㎝、高さは2~5mにもなります。茎の内部に蔗糖を貯める細胞があり、1日の寒暖差が激しく日射量が多い土地ではより効率よく蓄える性質をもっています。そのため、熱帯気候である赤道付近の国々でサトウキビが多く植えられ、ラムが造られることになります

ラム造りに使用される品種は1つではなく、多くの品種が植えられています。これは、その生育する時期や土地の状態に合わせて植え分けているのと、害虫などの被害を最小限に抑えるためです。

ラムはウイスキーなどと同じ蒸留酒

ラムはウイスキーなどと同じ蒸留酒です。ラムにはスコッチやコニャックのような明確な製法の規定がありません。各地で代々伝えられてきた方法で自由に造られています。そのため、カリブ海をはじめ、東南アジア、インド洋、アフリカなど、多くの国々でバラエティ豊かな香味を有するラムが造られているのです。

ラムの蒸留器

もちろん、それぞれの国ごとで規定はあります。特にフランス領のマルティニーク産ラムでは原産地呼称法(AOC)が定められていますので、コニャック同様細かな規定がなされています。ただ、その自由度のため、愛好家にとっても不明確な部分が多くあります。

従来から行っている方法でノウハウにあたり仕方ないのかもしれませんが、ダークラムの熟成方法や添加物の可否など、製法が明らかになっていない部分も多々あります。

ラムが盛んに造られるようになったきっかけ

ラムが現在のように盛んに造られるようになる上で欠かせない歴史上の出来事は、コロンブスの新大陸発見(1492年)と三角貿易(1700年以降)といえます。新大陸発見によりサトウキビ栽培に適した広大な土地を得て、ヨーロッパ・アフリカ・カリブ海地域での三角貿易、つまり武器・奴隷・砂糖のやりとりにより、ヨーロッパ諸国に莫大な財がもたらされました。

カリブ海地域からの輸出品の主であった砂糖ですが、その生産過程で生じる糖蜜もその量が増えてきます。当初はハチミツの代用品として使われていましたが、16世紀になるとこの糖蜜を発酵・蒸留することでスピリッツ・ラムを造ることに。つまり、ラムは砂糖生産の副産物として誕生したのです。当初のラムはかなり荒々しいものであったため、支配階級が飲むものではなく、奴隷たちへのご褒美として使われていました。

また、この当時、大西洋上の船中で「壊血病」によって亡くなる乗員や奴隷が多かったのですが、このラムが特効薬と信じられていました。実際のところ、壊血病はビタミンC不足によるもので、ラムと一緒に飲まれていたライムが効いていたのですが……。このことは近年まで信じられていました。こうしてラムは船乗りに欠かせないものとなり、海軍や海賊の飲み物というイメージが定着することになったのです。

ラムの品質を向上させるきっかけとなったのが、フランスの修道士ジャン・バチスト・ラバです。それまでラムの品質は低かったのですが、彼はラムに可能性を見出し、16世紀後半フランス領マルティニーク島にコニャックの蒸留器や技師を持ち込み、その当時の最新蒸留技術でラムを造りました。

その結果、現在に通じるような品質の向上がなされ、輸出品としての価値を高めることになります。このことが他の島々にも影響し、イギリス領にはスコッチウイスキーの、スペイン領にはシェリーブランデーの蒸留技術がもたらされ、ラムはそれぞれの宗主国の特徴を有することになったのです。

ラムにはどんなものがあるの?

多くの国々で造られているラムですが、その分類方法としては原料による分類樽熟成期間による分類が一般的です。

原料による分類

おおもとの原料はどれもサトウキビですが、ラムを製造する際の状態により3つに分類しています。それぞれ得られるラムには風味などの違いが生じます。

<トラディショナル>

  • サトウキビの搾り汁を濃縮し、砂糖を結晶して取り除いた後の糖蜜(モラセス)を原料とする
  • 糖蜜は冷蔵保存が可能で、通年ラム製造ができる
  • 世界の90%のラムがこのタイプになる
  • ジャマイカ、キューバ、ガイアナ・デメララなど

トラディショナルラムの代表的なボトル
マイヤーズラム オリジナルダーク
バカルディ スペリオール

<アグリコール>

  • サトウキビの搾り汁をそのまま原料とする
  • サトウキビの搾り汁は経時劣化するので、収穫期にしか造れない
  • 19世紀にフランス領で確立した製法で華やかな風味
  • フランス海外県(マルティニーク、グアドループなど)やハイチなど

アグリコールラムの代表的なボトル
コルコル アグリコール
ラオディ アグリコールラム
トロワ リビエール 50度

<ハイテストモラセス>

  • サトウキビの搾り汁を加熱濃縮しシロップ状にしたもの(ハイテストモラセス)を原料とする
  • 冷蔵保存が可能でありながら、サトウキビの風味が感じられる
  • トラディショナルとアグリコールの良いところを有している 
  • グアテマラ「ロンサカパ」、日本「ナインリーヴズ」など

ハイテストモラセスの代表的なボトル
ロン サカパ XO
ナインリーヴズ

熟成方法・期間による分類

樽熟成の有無やその期間により分類する方法ですが、基本的に外観色による分類ともいえます。もともと楽しまれていたのはホワイトラムでしたが、宗主国に船で運ぶ際に用いた樽によって味わいがまろやかになりました。これより、樽での熟成を行うラムが生まれたのです。

<ホワイトラム>

  • 基本的に樽熟成を行っていない無色透明なラム
  • ステンレスタンクで数か月~1年程度貯蔵
  • 軽く色づいたラムを活性炭濾過などして透明にしたものもある
  • クリアではあるが、やや荒さがあるため、カクテル材料に向いている
  • この分類の中では、最も生産量が多い

ホワイトラムの代表例
バカルディ スペリオール
トロワリヴィエール ブラン

<ゴールドラム>

  • バーボン樽や大樽にて、短期間(3年程度以内)熟成を行うラム
  • 外観色が黄金色程度になるように熟成させたラム
  • ホワイトラムの爽やかさ・荒さを持ちながらも、まろやかさも兼ね備えた香味
  • ストレートやロック、またカクテルでも楽しめる

ゴールドラムの代表例
バカルディ ゴールド
トロワリヴィエール アンブレ

<ダークラム>

  • バーボン樽などで3年以上熟成を行ったラム
  • 外観色が琥珀色や褐色を呈しているラム
  • 生産国の気候では熟成が早く進むため、元宗主国などヨーロッパの国々にて熟成を行うものもある
  • ウイスキー同様、ストレートで味わいたい

ダークラムの代表例
バカルディ ブラック
トロワリヴィエール シングルカスク2005

<スパイスドラム>

  • ホワイトラムにハーブやスパイスを砂糖と共に浸け込み、甘く飲みやすくしたラム
  • バニラやシナモンなど甘いアロマを楽しめる
  • ロックでもよいが、カクテルやお菓子でも楽しめる

ラムの楽しみ方

ラムは様々な楽しみ方のできるスピリッツです。そのバリエーション豊かな香味は、きっとあなたを満足させることでしょう。

ホワイトラムはカクテルベースとして多く用いられています。

ショートカクテルでは、「これ以上はない最高のカクテル」という意味(内緒、秘密の意味だという説も)のXYZや、文豪ヘミングウェイが愛したダイキリ。

ロングカクテルでは、「キューバの自由」という意味のキューバ・リバー(日本ではキューバ・リブレともいう)のほか、ブルー・ハワイマイタイピニャ・カラーダなどのいわゆるトロピカルカクテル、近年ブームのミントを効かせたモヒートなど、さまざまに楽しまれています。

モヒート

ここで、ホワイトラムをゴールドやダークラムに変えると、爽やかさとはまた一味違ったコクのあるカクテルとなりますので、ぜひお試しください。

ダークラムは、ストレートでゆっくりとお飲みいただきたいところですが、ホットカクテルもおススメです。ホットバタードラムホットエッグノッグなどは温まるカクテルとして、寒い夜にはもってこいです。

ラムを使ったカクテルレシピを見る

ラムの生産地は、どのあたり?

ラムの発祥地はカリブ海の島々といえますが、その自由なスタイルにより様々な地域に広がっていきました。中南米の国々、東南アジア、オセアニア、アフリカ東部の島々へと、その宗主国の支配していた地域に蒸留技術と共に伝わったのです。主な宗主国としては、イギリス・フランス・スペインの三カ国です。

※クリックで拡大

ラムのメッカ・カリブ海地域の国々

カリブ海には大小さまざまな700以上の島々があり、大陸と合わせて30程度の主権国家・海外県・属領などから成り立っています。それぞれの国・地域で独自の方法で個性豊かなラムを造っています。

カリブ海地図
※クリックで拡大

(カリブ海地図)

<イギリス系ラム RUM>

  • オイリーさを伴った、しっかりとした厚みのある香味が特徴
  • スコッチウイスキーの製法をベースとしている
  • 連続式蒸留機による原酒のほか、単式蒸留器の原酒も使用することがあり、これらをブレンドした製品もリリースされている

代表的産地 ジャマイカ、ガイアナ(デメララ)など

<フランス系ラム RHUM>

  • アグリコール製法のラムが多い
  • コニャック様の香り豊かで繊細な香味が特徴
  • 元々コニャックの製法をベースにしているが、現在は連続式蒸留機で造られている

代表的産地 フランス海外県であるマルティニーク・グアドループ島・マリーガラント島など

<スペイン系ラム RON>

  • 大陸系と島系で味わいは異なる
  • 大陸系はボディが厚く、強い甘味が特徴的
    スペイン・シェリーブランデーの製法をベースに、熟成にはソレラシステムが用いられている
    代表的産地(銘柄) グアテマラ(ロンサカパ)、ベネズエラ(ディプロマティコ)など
  • 島系は軽やかな味わいが特徴
    キューバより技術が伝わる
    代表的産地 キューバ、プエルトリコ、ドミニカ共和国

ラムの造り方は?

ラムはサトウキビを原料とする蒸留酒です。サトウキビの搾り汁をどのように使うかで、大きく3つの製法に分けられています。

そのまま使うアグリコール法、砂糖を結晶として取り除いた後の糖蜜(モラセス)から造るトラディショナル法、濃縮してシロップ様にして保存性を高めたものから造るハイテストモラセス法など。

ラムの造り方チャート

※クリックで拡大

ラムの蒸留方法

それぞれの原料に酵母と水を加えてもろみを造り、蒸留して原酒を造ります。蒸留には多くの国々でカラム式蒸留機が用いられています。

カラム式蒸留器

小規模蒸留所では2本の塔にて、大規模では3~4本の塔を組み合わせたアロスパス式蒸留機を使用して、アルコール度数96%程度の留液を得ています。ここでいくつかの蒸留所では、塔で1回だけ蒸留した留液(アグアルディエンテ)を別途取り出しておき、複数塔で得られた留液とブレンドして、製品にしています。

また、フランス領の蒸留所では76%程度までしかアルコール度数を上げないところもあります。英国領の蒸留所の中には連続式のほかに、単式蒸留器(ポットスチル)を使用しているところもあります。2回蒸留で70%程度、3回蒸留のところでは85%程度の留液を得ていますが、これと連続式で得た留液とをブレンドして製品にしています。一部、単式蒸留器のみの原酒で造られたラムもリリースされています。

ラムの熟成

ラムの多くは樽で熟成を行わないホワイトラムです。樽熟成を行う場合は、スコッチ同様、バーボンの空樽が主として使われています。

その他シェリー樽やスコッチ樽、コニャック樽なども使用されています。熟成は、パレットの上に樽を縦向きに並べ、ラップや結束バンドなどでバインドして積み重ねる方法・パラタイズ式が多く、一部の蒸留所ではシェリーと同じソレラシステムを用いているところもあります。

ラムの製造工程ギャラリー

バカルディの設備ギャラリー

この記事を書いた人

谷嶋 元宏
谷嶋 元宏https://shuiku.jp/
1966年京都府生まれ。早稲田大学理工学部在学中よりカクテルや日本酒、モルトウイスキーに興味を持ち、バーや酒屋、蒸留所などを巡る。化粧品メーカー研究員、高校教員を経て、東京・神楽坂にバー「Fingal」を開店。2016年、日本の洋酒文化・バーライフの普及・啓蒙を推進する「酒育の会」を設立、現在に至る。JSA日本ソムリエ協会認定ソムリエ。
谷嶋 元宏
谷嶋 元宏https://shuiku.jp/
1966年京都府生まれ。早稲田大学理工学部在学中よりカクテルや日本酒、モルトウイスキーに興味を持ち、バーや酒屋、蒸留所などを巡る。化粧品メーカー研究員、高校教員を経て、東京・神楽坂にバー「Fingal」を開店。2016年、日本の洋酒文化・バーライフの普及・啓蒙を推進する「酒育の会」を設立、現在に至る。JSA日本ソムリエ協会認定ソムリエ。