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コルクをリサイクルした資金をガン患者救済に

フランスにはお酒を消費して、ガン患者を助ける取り組みがあるのをご存知でしょうか?フランスの一大ワイン産地であるボルドーを含む南西地方には「Agir Cancer」という団体があります。この団体ではワイン等を消費した時に出るコルクを回収し、リサイクルをすることによって得られる資金をガン患者救済に使います。

2006年にFrançoise MEILLAN(フランソワーズ・メイヤン)氏によってこの団体は設立されました。彼女は旦那様をガンで亡くしたのですが、自身と同じ思いをする人ができるだけ少なくなるようにとの考えから。

基本的にはどんな材質のコルクも回収してくれます。

コルクはポルトガルへ送られ、装飾品であったり、靴や断熱パネルにもなったりするそう。また、革の様な材質へと変形させ、服が作られることもあるそうです。

プラスチックコルクはベルギーに送られます。溶かし、変形させることで、子供のおもちゃやスーパーのカゴなど、リサイクルプラスチックとして再利用されます。

また、蒸留酒の蓋の様にコルクとプラスチックが合体しているものは、ボランティアの方々が手で分けることでリサイクルを可能にしています。

開始当初の2006年は4トンの回収、1900ユーロ(約25万円)の寄付でしたが、昨年2021年は53トンものコルクを回収し、2万1000ユーロ(約280万円)をInstitut Bergonié(ガン研究を含む、民間医療施設)に寄付しました。

寄付した小切手

私たち一般人も簡単に寄付できるように200か所以上の回収ポイントがあり、さらに近年はワイナリーやテイスティング会場とも契約をしています。テイスティング会場では言わずもがな、開いたお酒のコルクを回収しています。そしてワイナリーではワイナリーのテイスティングで使用されるものはもちろん、使用しなかった新しいコルクの回収も行います。というのも、ワインのコルクにはワイナリー名やビンテージが書かれていることが多いですよね? 例えば「2021」と記載されたコルクを2022年ビンテージのワインに使うことは出来ないので、通常であれば廃棄されていたのです。

フランスには様々な地域で同様の組合/団体があるようですが、このAgir Cancerは世界最大の団体だそう! 廃棄ゴミも少なくなり、リサイクルによってコルク自体に新たな命を与え、ガン患者も救うことが出来ると、まさにいいことづくめ。フランスはワインの一大産地、消費国ですが、それだけに留まらないことも知ってもらえると嬉しいです。

この記事を書いた人

野田 祥子
野田 祥子https://sachiguide.wixsite.com/bordeaux-net
1990年大阪生まれ。大阪大学工学部を卒業後フランスへ。 フランス国家資格ソムリエや、アルコールに関する経営学資格を取得。 現在はボルドーとコニャック2つの街を行き来しながら、ワイナリー/メゾン訪問における通訳を中心に、試飲会での通訳等も行う。 フランスソムリエ協会ボルドー支部所属。
野田 祥子
野田 祥子https://sachiguide.wixsite.com/bordeaux-net
1990年大阪生まれ。大阪大学工学部を卒業後フランスへ。 フランス国家資格ソムリエや、アルコールに関する経営学資格を取得。 現在はボルドーとコニャック2つの街を行き来しながら、ワイナリー/メゾン訪問における通訳を中心に、試飲会での通訳等も行う。 フランスソムリエ協会ボルドー支部所属。