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お酒の基礎知識ブランデーアルマニャックとコニャック...

アルマニャックとコニャックの違いは?

フランスが世界に誇るブランデー、コニャックとアルマニャック。
どちらもブドウを原料とし、樽にて熟成を行う蒸留酒です。ただその香味は、共通点もありますが、相違点も多くあります。

その違いはどこからくるのでしょうか?

①ブドウ品種

コニャック:
ほぼユニ・ブラン。

アルマニャック:
ユニ・ブラン(60%)、バコ(30%)、フォル・ブランシュ、コロンバールなど。

*アルマニャックの方がより個性豊かな品種を使用

②土壌

コニャック:
最良品は石灰質土壌から。

アルマニャック:
最良品は砂質土壌から。

*使用するブドウ品種により、最適の土壌が異なるため

③気候

コニャック:
穏やか、海風の影響あり  大西洋海洋性気候・大陸性気候。

アルマニャック:
温暖で日照量もより多い  大陸性気候・地中海性気候。

*アルマニャックの方がブドウの熟成はよりすすむ。

③生産者

コニャック:
ヘネシー社やレミー・マルタン社など有名大手ネゴシアンが多い。ブドウ栽培からボトリング・販売までを行うプロプリエテールは少ないが高品質品をリリースしている。

アルマニャック:
小さな生産者が多く、より手造り感をもって生産している。生産者名を明記したボトルをリリースするネゴシアンも多くある。

*アルマニャックの生産者は約800社(独立生産者500社、協同組合300社)、ネゴシアンは約40社

④蒸留器

コニャック:
シャラント型単式蒸留器による2回蒸留。

アルマニャック:
アルマニャック型連続式蒸留器による1回蒸留。

⑤留液

コニャック:
単式蒸留2回により、68~72%程度。

アルマニャック:
1塔連続式により、52~72%程度

*アルマニャックは留液のアルコール度数を上げないため、原料や発酵由来の成分が多く留液に溶け込んでいる。

*ブランデー類の一番好ましい熟成香であるランシオ香の元となる成分が多いため、長期熟成により複雑でまろやかな香味が得られる。

⑥樽

コニャック:
リムーザン産とトロンセ産を使用。

アルマニャック:
リムーザン産とガスコーニュ産(ガスコン・オーク)を使用。

*リムーザン産は、木目が粗く外界とのやり取りが多いため、より酸化熟成が進む

*ガスコン・オークは、リムーザン産より木目が粗くタンニンが多いため、より力強くふくよかな風味をもたらす

⑦ボトリング時のアルコール度数

コニャック:
通常は加水して40%にする。

コニャック:
40%もあるが、46%前後も多い。

*アルマニャックの方が樽入れの度数も低く、加水の度合いも少なくなるため、よりふくよかな香味となる

*アルマニャックには、加水されず樽出しの度数のままリリースされるものもある(ブリュット・ド・フューBrut de Fut)

⑧ヴィンテージ

コニャック:
多くの場合、複数年の原酒をブレンドしているためヴィンテージはつけられない。ごく少量リリースされているが、規定が厳しい。

アルマニャック:
ヴィンテージを明記しているものが多くリリースされている。

*アルマニャックの方が熟成年数にかかわらず、ヴィンテージが入っているものが多い

*アルマニャックは自分の誕生年など、記念年のモノを求めやすい

⑨生産量

コニャック:
年間 約1億7千万本。

アルマニャック:
年間 約7百万本。

アルマニャックはコニャックと比較すると、ぶどう畑面積は1/5で、販売量は1/20程度である

*コニャックの多く(95%程度)は海外に輸出されるが、アルマニャックは50%程度と国内消費が多い

もっとアルマニャックを楽しむために!!

アルマニャックにご興味を持ったとしても、どの銘柄を頼めばよいのだろうか……となるかもしれません。実際、バーや酒販店ではあまり種類をあまり置いていないところが多いです。アルマニャックの場合、生産者(ドメーヌとも言います)のほかに、生産者から樽を購入して瓶詰めし、自社ラベルを貼って販売するネゴシアンと呼ばれる会社もあります。スコッチウイスキーでいうボトラーズですね。ラベルからはその区別が分かりにくいメーカーもあり、またドメーヌとネゴシアンの両方の顔を持つメーカーもあります。いくつかドメーヌ、ネゴシアンを挙げておきますので、ご参考まで。もちろん、これ以外にも素晴らしい生産者がたくさんいますので、ぜひいろいろと試してみてください。

また、ある程度熟成が進んだもののほうが、よりその個性を楽しめるのも事実です。できれば30年程度熟成したものをお楽しみいただければと思います。

おススメのドメーヌ

  • Chateau du Lacquy(de Boisseson) シャトー・ド・ラキー
  • Domaine Boingneres(Lafitte) ボワニエール
  • Domaine de Jaurrey & Pillon(Laberdolive) ラベルドリーヴ
  • Baron G.Legrand バロン・G.ルグラン

おススメのネゴシアン

  • Francis Darroze フランソワ・ダローズ
  • Gelas ジェラス
  • Trepout トレプー
  • Dartigalongue ダルティガロング

この記事を書いた人

谷嶋 元宏
谷嶋 元宏https://shuiku.jp/
1966年京都府生まれ。早稲田大学理工学部在学中よりカクテルや日本酒、モルトウイスキーに興味を持ち、バーや酒屋、蒸留所などを巡る。化粧品メーカー研究員、高校教員を経て、東京・神楽坂にバー「Fingal」を開店。2016年、日本の洋酒文化・バーライフの普及・啓蒙を推進する「酒育の会」を設立、現在に至る。JSA日本ソムリエ協会認定ソムリエ。
谷嶋 元宏
谷嶋 元宏https://shuiku.jp/
1966年京都府生まれ。早稲田大学理工学部在学中よりカクテルや日本酒、モルトウイスキーに興味を持ち、バーや酒屋、蒸留所などを巡る。化粧品メーカー研究員、高校教員を経て、東京・神楽坂にバー「Fingal」を開店。2016年、日本の洋酒文化・バーライフの普及・啓蒙を推進する「酒育の会」を設立、現在に至る。JSA日本ソムリエ協会認定ソムリエ。