使用される葡萄品種
アルマニャックでは10品種のブドウの使用が認められている。すべて白ブドウで、主として以下の4種類が使われている。
ユニ・ブラン(Ugni Blanc)
- アルマニャックの60%に使用
- サンテミリオンSt.Emillionとも呼ばれる
- 蒸留酒専用ともいえる品種で、コニャックでも多く使用される
- 酸味が強くアルコール度数が上がらないので蒸留酒向き
- 繊細で上品なブランデーが造られる
フォル・ブランシュ(Falle Blanche)
- アルマニャックの4~5%に使用
- かつては主要品種だったが、カビなどに弱く栽培に手間がかかるためユニ・ブランなどに植え替えられてきた
- フローラルでエレガントな香り高いブランデーが造られる
バコ(Baco)
- アルマニャックの30%に使用
- フィロキセラによる被害の後に開発された品種で、フォル・ブランシュとノアの混種。
- 特にバ・アルマニャックの土壌に適しており、長期熟成によりふくよかで複雑な香味を呈する
コロンバール(Colombard)
- アルマニャックの数%に使用
- ワイン用として多く作付されている
- 酒精強化ワイン、フロック・ド・ガスコーニュのベースとして利用
- アルマニャックに使用すると、ボディー感やフルーティさがもたらされる
アルマニャックの製造工程
①破砕・圧搾
②発酵
- ブドウ品種ごとに発酵を行う
- 亜硫酸添加や加糖は禁止
- 発酵期間はコニャックとほぼ同じ、約3週間
- アルコール度数はコニャックよりやや高め、8~10%程度
- 濾過せず、オリ入りのまま蒸留へ
③蒸留
伝統的なアルマニャック・スチル(1塔式連続式蒸留器)
- 1818年頃から使用され、それ以前は単式蒸留器を使用
- スチルの容量サイズは、ほぼシャラント型と同じ2500ℓ程度が多い
- 蒸留器の上部に数段のプレートを組み込むことで、1回の蒸留でアルコール度数を52~72%まで上げられ、希望の度数で取り出すことができる
蒸留所により使用するプレートが異なり、2種類を組み合わせるところもある。
- シーブトレイ(小さな穴が無数に開いている)
- バブルキャップ(やや大きめの穴にキャップ状の覆いがついている)
- ハウス(長屋状の覆いがついている)
- スパイダーレッグ(棚の中央に穴が開いており、そこからクモの足状に管が伸びている)
- ワインを投入する段は、古いタイプの蒸留器では一番上から、新しいタイプでは上から2~3段目から
- 古いタイプの蒸留器ではアルコール度数52~55%程度の留液が、新しいタイプでは55~72%の留液が取り出せる
- 通常1~2週間連続して稼働させる
- 品種ごとに蒸留する場合、ブレンドしてから蒸留する場合がある
- 11月はじめから蒸留を行い、翌3月31日まで(多少年により異なる)
- 現在、コニャックで使われるシャラント型単式蒸留器(2回蒸留)を使用しているメーカーもある
④熟成
- 「ピエス」と呼ばれる容量400~420ℓのオークの樽に詰められる
- 主としてリムーザン・オークの樽が使用される
- 地元のガスコン・オークの樽も使用されるが、総量の10%程度
- 最低1年の熟成が必要
⑤瓶詰
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