誰もが知っている有名なお酒であるのに、この質問の正当率はあまりに低い。メキシコ=サボテンのイメージが強いため、原料はサボテンと思われがちだが、それは間違いだ。
答えは「アガベ(龍舌蘭)」という植物で、200種以上も品種がある。その中で、テキーラを名乗ることができるのは、たった一つ「アガベ・アスール・テキラーナ・ウェーバー」品種だけ。
また、「テキーラ」の語源は、メキシコ・ハリスコ州にあるテキーラ発祥の村の名前に由来する。このハリスコ州を中心に、4つの州(タマウリパス州、ナヤリ州、グアナファト州、ミチョアカン州)を加えた“テキーラ5州”で作らなければ「テキーラ」の称号を得ることはできない。シャンパン等と同じ原産地呼称制度で守られたお酒なのである。他にも「蒸留は2回以上」「アルコール度数は35~55%」「アガベ・アスールを51%以上使用」など、細かく決められた事項をいくつもクリアして、ようやくテキーラと名乗ることが許される。現地のCRT(テキーラ規制委員会)という半官半民の機関により、厳しく品質管理されているのだ。
そして、テキーラはどのように作られるのか?
意外にも、長い長い年月がかかる。まず、小株を植えてから収穫までに平均7~10年。人の背丈ほど大きく育ったところで「ヒマドール」と呼ばれる職人が手作業でひとつずつ収穫。長い葉を削ぎ落とした球茎部のみが原料になり、これを蒸し上げて糖化した後に搾汁し、水や酵母を加えて発酵させ、2回以上の蒸留を経て、濾過して出来上がり。このあとさらにオーク樽で熟成を施すものと、そのままボトリングされるものに分けられる。
テキーラの分類については、また次回。