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知られざるテキーラの真価②:テキーラの作り方と種類

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テキーラの誤解

テキーラはどうやって作るの?

テキーラの原料は、アロエに似た巨大な植物「アガベアスール」。メキシコの熱い太陽のパワーでゆっくり大きくなります。

①栽培:Planting

原料となるアガベアスールは、メキシコの太陽をめいっぱい浴びながら平均7年ほどかけて育てられ、人の背丈ほどの大きさに成長する。アガベはたくさんの品種があるため、純血を守るために交配はさせず、すべて株分けによって子株から育てるのが特徴。

②収穫:Harvesting

ヒマドール(Jimador)と呼ばれる職人が、円形の刃物(コア)を用いて一つづつ手作業で収穫

硬くて長い葉をすべてそぎ落とすと、パイナップルのような球茎(ピニャ)が現れる。長い年月をかけてここに糖分が蓄えられ、これがテキーラの原料となる。

硬い葉によって糖分が守られているのだ。

③加熱:Baking

レンガ製のオーブン、または蒸気圧力釜によって原料を加熱し、蒸しあげて甘さを引き出し、糖化するのが一般的。

※生の状態で酵素分解する蒸留所や、ディフューザーという大型の機械で生のアガベから搾汁する場合もある。

④搾汁:Pressing

ローラーミル(シュレッダー)で加水しながらアガベジュースを搾る。タオナと呼ばれる回転式の石臼を用いる伝統的な製法もあるが、現在はわずか数ヵ所のみ。

伝統的なタオナ

⑤発酵:Fermentation

搾ったアガベジュースを発酵させてアルコールにする。

このときに加える酵母の種類によってテキーラの味が左右される。

※バガスと呼ばれるアガベの繊維を加える場合もある

⑥蒸留:Distillation

テキーラは二回以上の蒸留が義務付けられている。

蒸留後にフィルターを通してから加水し、アルコール度数を調整する。

⑦熟成:Aging

蒸留後にそのままボトリングされるものと、オーク樽によって熟成を促すものに分けられる。

熟成の期間によって4つのクラスに分類される。

テキーラはどんな種類があるの?

テキーラは、香りや味わいのバリエーションに幅があるのが大きな特徴。では、どのような分類があるのでしょうか?

原料による分類

原料によってまず大きく二種類に分けられる。

TEQUILA(テキーラ)

テキーラの認可を受けるには、原料の51%以上にアガベアスールの糖分を使用していることが絶対条件!

サトウキビ等ほかの種類の糖分は49%以下でなければならない。実は、日本で消費されているテキーラの大半は、こちらのタイプ。独特な甘みが特徴。

100% AGAVE TEQUILA

原料の100%にアガベアスールの糖分を使用したもの。ラベルに「100% DE AGAVE」等の記載があるかどうかで、簡単に見分けることができる。

アガベ由来の植物らしい風味がしっかりしているので、香りだけでも違いを感じる。“プレミアムテキーラ”と呼ばれることも。

熟成期間による分類

樽熟成の期間によって4つのカテゴリーに分けられる。

①ブランコ:BLANCO(0~2か月未満)

スペイン語で「白」を意味し、ほぼ無色透明。アガベ本来のハーバル感が強く、シトラスのような爽やかな香り。SILVER、PLATAの表記を用いることもある。

②レポサド:REPOSADO(2か月~1年未満)

「休ませた」の意味。オーク樽での熟成によって、ややまろやかに。ハーバルな味わいに樽成分による風味が混ざり、ほのかに甘い香りが感じられる。

③アネホ:ANEJO(1年~3年未満)

「熟成させた」の意味。熟成によるまろやかさが増し、バニラやキャラメルのような樽の風味がより強くなってくる。ウイスキー好きの方にオススメ! 

④エクストラアネホ:EXTRA ANEJO(3年以上)

スコットランドの5倍の早さで熟成が進むといわれるメキシコでは、3年でかなりの超熟!芳醇な樽香が加わり、複雑みが増し、色もかなり濃い琥珀色に。

左からブランコ、レポサド、アネホ、エクストラアネホ

※その他のカテゴリー

オロ・ホベン・ゴールド:ORO/JOVEN/GOLD

ブランコのテキーラにカラメル色素を添加して色づけたもの。または、レポサド以上のカテゴリーのテキーラをブレンドしたもの。日本で流通する「ゴールドテキーラ」は前者が多い。

クリアアネホ:CLEAR ANEJO

この数年、メキシコで流行のタイプ。アネホやエクストラアネホの熟成テキーラを特殊なフィルターで濾過して透明にしたもの。35%など低い度数でリリースするブランドも多く、甘みがあり、まろやかで飲みやすいのが特徴。

テキーラの母「メスカル」とは?

メスカルは、アガベ(リュウゼツラン)を原料とするメキシコの伝統的な蒸留酒。テキーラも元はメスカルの一部だったが、1994年に原産地呼称が制定され、区別されるように。現在はメスカルもメキシコの9つの州で原産地呼称が認定されている。

テキーラとの違いは、主に「製法」「アガベの種類」「エリア」。テキーラは原料を蒸して加熱するのに対し、メスカルは「タテマド」と呼ばれる地面に掘ったオーブンで調理するのが一般的。この製法で独特のスモーキーフレーバーが生まれるのだ。

また、使用するアガベの種類はテキーラが一種類であるのに対し、メスカルは何十種類ものアガベの使用が認められており、アガベの品種をブレンドすることも。生産エリアはテキーラよりも広く、今後さらに広がっていく可能性もある。

メスカルの魅力は、力強く複雑で個性的な味わい。少量生産のクラフトスピリッツとして、今、世界的に注目を浴びている。

メスカルを学ぶならメスカレロ講座へ!

2017年に設立された日本メスカル協会によって、メスカルの専門家「メスカレロ」の育成を行うメスカレロ講座が開催されている。

メスカルの歴史、生産工程、アガベの種類、メスカルカクテルについて、20種類以上のメスカルを試飲しながら学んでいく。

講習の最後に行われる認定試験に合格すれば、認定証とメスカレロ・バッジが授与される。講習は各2時間を全4回。受講料は43200円(税込/教材・バッジ代込)。

詳しくは日本メスカル協会のHP参照
日本メスカル協会

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リカル編集部
リカル編集部https://liqul.com/
リカル編集部です。「~より良い酒ライフを! バータイムをより楽しもう!!~」をコンセプトに、ウイスキーやビールはじめ様々なお酒の情報を発信して参ります。
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