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魅惑のブランデー~蒸溜のこだわり・細やかなカット(その1)~

前号に引き続き、コニャックの造りの中で酒質を決めるポイントについて、今回は蒸溜時のカットです。

コニャックもモルトウイスキー同様、単式蒸溜器にて2回蒸溜を行います。特に2回目の蒸溜では、蒸溜所の望む酒質になるよう溜液を分割する、いわゆるミドルカットを行います。

下図は、一般的なモルトウイスキーの2回蒸溜の流れを示しています。

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1回目の蒸溜(初溜)は、モロミ中のすべてのアルコール分を一括して取り出します。その後、初溜液を2回目の蒸溜(再溜)にまわして、前溜・本溜・後溜の3つに分けています。ここでは、前溜と後溜を次ロットの初溜液と混合しており、これによって溜液の酒質が変化することから、そのサイクルの回数をある程度繰り返すことが酒質を安定させる上で重要となります。

それに対してコニャックの蒸溜の流れは、マーテルタイプとレミータイプの2パターンがありますが、今回はより一般的なレミータイプを下図に示します。

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ここで2回目の蒸溜についてですが、蒸溜器のサイズは1回目とほぼ同程度なため、通常1回目の溜液・ブルイを2500ℓ(約3ロット分)まで集めてから2回目の蒸溜を行います。これをみると、1回目の蒸溜で3分割する点や、2回目の蒸溜については4分割する点、2回目の蒸溜のテットとクー、スゴンドの一部を元のもろみ・ヴァンに返す点がモルトウイスキーとの大きな違いになります。

モルトウイスキーが2回蒸溜でありながら、前溜・後溜を繰り返し再溜釜に戻すことから、実際は2・6回蒸溜程度の効果があるのではと考えられるのに対して、コニャックは3回蒸溜以上の効果があると言え、モルトウイスキーよりもきれいで香り高い溜液を得ていると考えられます。コニャックの深遠な香りの理由のひとつは、この細やかなカットからきているのではないでしょうか。

この記事を書いた人

谷嶋 元宏
谷嶋 元宏https://shuiku.jp/
1966年京都府生まれ。早稲田大学理工学部在学中よりカクテルや日本酒、モルトウイスキーに興味を持ち、バーや酒屋、蒸留所などを巡る。化粧品メーカー研究員、高校教員を経て、東京・神楽坂にバー「Fingal」を開店。2016年、日本の洋酒文化・バーライフの普及・啓蒙を推進する「酒育の会」を設立、現在に至る。JSA日本ソムリエ協会認定ソムリエ。
谷嶋 元宏
谷嶋 元宏https://shuiku.jp/
1966年京都府生まれ。早稲田大学理工学部在学中よりカクテルや日本酒、モルトウイスキーに興味を持ち、バーや酒屋、蒸留所などを巡る。化粧品メーカー研究員、高校教員を経て、東京・神楽坂にバー「Fingal」を開店。2016年、日本の洋酒文化・バーライフの普及・啓蒙を推進する「酒育の会」を設立、現在に至る。JSA日本ソムリエ協会認定ソムリエ。