シャンパンと言えば、グラスの底から立ち上がる泡をイメージしますが、表面に浮かび上がった泡はあまり長持ちしません。ビールの泡はそれに比べればかなり長持ちします。どちらも泡の中身は炭酸ガスです。この違いは何でしょうか?
まずは、泡が出来る時の違いです。
ビールには多くの有機物が含まれていて、その中には界面活性を示す物もたくさんあります。これらの分子には疎水性の部分と親水性の部分があり、疎水性の部分を泡の内側に向けて泡にくっつきやすく。泡が界面活性物質で覆われると泡は固く丈夫になります。
泡はグラスの底で発生し、表面に向けて浮かび上がる途中に界面活性物質を吸着しますが、泡は上昇とともに炭酸ガスを取り込んで大きくなり、表面積が増えて行きます。界面活性物質の吸着スピードが表面積の増加スピードに間に合わないと、界面活性物質で覆われた泡の表面の割合がどんどん少なくなって行きます。逆に吸着スピードが表面積の増加スピードを越えると泡は全部界面活性物質で覆われ固くなります。
ビールはシャンパンにくらべて界面活性物質が多く、また、溶けている炭酸ガスもシャンパンに比べて少ないので表面積の増加スピードも遅くなります。そのため簡単に全部界面活性物質に覆われ硬化します。さらに、ビールはホップの成分も係って泡を固くします。
次に、表面に到達して浮いている泡についてです。
表面に浮いた泡は泡を作っている液体が泡の表面を流れて行き泡をどんどん薄くし、やがて壊れます。流れるスピードが遅ければ泡は長持ちします。スピードは液体の色々なパラメーターで変化しますが、特に粘性によって大きく変化します。これもビールがシャンパンを上回っている事が多いと思われます。