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スコッチウイスキーの聖地:父なる島・アイラ巡礼

イギリス・グレートブリテン島の北部に位置するスコットランド。その南西部にウイスキー好きを魅了してやまない小さな島があります。

『アイラ島 Isle of Islay』

英語読みではアイレイですが、現地ではアイラと発音しています。発音が近いからか、アイリッシュ Irish ウイスキーと混同されている方も多いですが、アイラ島のウイスキーはアイルランド産ではなく、スコットランド産です。

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西海岸の小さな島

面積は約620k㎡と淡路島と同じくらいですが、人口は3千数百人程度。

多くの方がウイスキー産業に従事しています。北緯55度と北海道宗谷岬の45度よりもはるかに北に位置しますが、メキシコ湾流の影響で比較的温暖です。

スコッチウイスキーの聖地

この島がスコッチウイスキーの聖地といわれるのは、個性豊かなモルトウイスキーを製造している蒸留所が9ヶ所も存在しているからです。

特にスモーキーで消毒薬のような独特の香味は一度飲んだら忘れることはできません。はじめは「うわっ!」とびっくりしますが、だんだんクセになりはまってしまうウイスキーです。

アイラ・フィーバー  Islay Fever

アイラ・フィーバー(アイラ熱)はアイラ島を訪れた人がかかる病気!?

旅人が島から離れがたく、再訪したくなることから。ウイスキーはもちろんのこと、島の気候風土、島の人々の優しさ・温かさなど、この小さな島には人を惹きつける大きな魅力があるのです。

魔法のアイテム・ピート peat

アイラモルトウイスキーを語る上で欠かせないのがピートです。水に浸けて発芽させた大麦を、ピートを燃やした時に出る燻煙でいぶして乾燥させることで、アイラモルトウイスキー独特の香味がもたらされるのです。まさに魔法のアイテムといえます。

ピートとは?

日本では、泥炭や草炭といわれています。野草や灌木などが堆積して炭化したものですが、石炭までは炭化していない状態です。地面に堆積しているので、粘土のような状態で掘り出し、乾燥させることで燃料として使用できます。木の少ないアイラでは貴重な資源です。

ピート由来の香味の強さを表す指標

ピート由来の香味の強さは、その主成分であるフェノール化合物の濃度で表されます。この数字のことをフェノール値といい、単位はppmです。

一般に5ppm以下をライト・ピーテッド麦芽、20ppm以上をヘビリー・ピーテッド麦芽といいます。ピートで乾燥させていない麦芽は、ノン・ピーテッド麦芽といいますが、フェノール値としては1ppm程度検出されることがあります。

ピート由来の香味の分類

ピート由来の香味をピーティーといいますが、これを細分化してみると、より蒸留所の個性やアイラモルトの魅力がわかります。

①消毒薬系

鼻を刺すような塩素系の刺激臭、歯医者さんや正露丸の香り

②スモーク系

燻製やたき火の燃えさしのような香り

③タール系

アスファルトのような重いオイルの香り

④アーシー系

黒土や腐葉土といった大地や潮風の香り

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スコッチウイスキーのメッカ、アイラ島の全蒸溜所とオススメ・スポット紹介

この記事を書いた人

谷嶋 元宏
谷嶋 元宏https://shuiku.jp/
1966年京都府生まれ。早稲田大学理工学部在学中よりカクテルや日本酒、モルトウイスキーに興味を持ち、バーや酒屋、蒸留所などを巡る。化粧品メーカー研究員、高校教員を経て、東京・神楽坂にバー「Fingal」を開店。2016年、日本の洋酒文化・バーライフの普及・啓蒙を推進する「酒育の会」を設立、現在に至る。JSA日本ソムリエ協会認定ソムリエ。
谷嶋 元宏
谷嶋 元宏https://shuiku.jp/
1966年京都府生まれ。早稲田大学理工学部在学中よりカクテルや日本酒、モルトウイスキーに興味を持ち、バーや酒屋、蒸留所などを巡る。化粧品メーカー研究員、高校教員を経て、東京・神楽坂にバー「Fingal」を開店。2016年、日本の洋酒文化・バーライフの普及・啓蒙を推進する「酒育の会」を設立、現在に至る。JSA日本ソムリエ協会認定ソムリエ。