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スコッチウイスキーのメッカ、アイラ島の全蒸溜所とオススメ・スポット紹介!

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スコッチウイスキーの聖地:父なる島・アイラ巡礼

現在アイラ島には9カ所の蒸溜所があります。せっかく来たのなら全ての蒸溜所を回らなくては!より自然豊かなジュラ島へ足を延ばしてみるのもOK!

きっと、もっとアイラが好きになるはずです。

珍しいウイスキーを楽しみたい方は、ボウモアホテルやロッホサイドホテルなどのバーがおススメです。でも、ボウモアの海岸で潮風に吹かれながら飲むのが、この上ない1杯かも……

アードベッグ Ardbeg

所有社ルイヴィトン・モエ・ヘネシー社
創業1815年
名前の意味「小さな岬」
仕込水アリ・ナム・ベイシュ湖、ウーガダール湖
麦芽ポートエレン・モルトスター製(フェノール値55ppm)
年間生産量140万PAℓ
輸入代理店モエ・ヘネシー・ディアジオ社

アイラ島で最もピートを強く炊き込んでいる蒸溜所。以前はブレンデッド用原酒主体で生産量も少なかったが、1997年にオーナーが代わりモルトウイスキー主体へと変革した。

再溜釜にピュリファイアー(purifier・精留器)が設置(スコットランドで6ヶ所)されており、ピート由来の香味はしっかりと感じられるが、キレの良い味わいとなっている。2019年には生産量を現在の2倍にするべく、スチルや発酵槽などを2倍にする計画を実施中。

ラガブーリン Lagavulin

所有社ディアジオ社
創業1816年
名前の意味「湿地の粉挽き小屋」
仕込水ソラン湖
麦芽ポートエレン・モルトスター製(フェノール値34~38ppm)
年間生産量245万PAℓ
輸入代理店モエ・ヘネシー・ディアジオ社

アイラの中でもっとも重厚な味わいで、しっかりとしたピート感を楽しめる。

蒸溜所の敷地内にラフロイグそっくりの蒸溜所「モルトミルMalt Mill」を建設し、1962年まで生産していたが現在は取り壊されてしまった。このウイスキーが、映画『天使の分け前ANGELS’SHARE』のモチーフになった。今回はチョコレートとのマリアージュ・セミナー、3種類のウイスキーとそれに合わせて作られたチョコレートのマリアージュを体験したが、それ以外にもさまざまな見学プログラムが設定されている。

ラフロイグ Laphroaig

所有社ビーム・サントリー社
創業1815年
名前の意味「広い入り江の美しいくぼ地」
仕込水キルブライド湖
麦芽フロアモルティング(フェノール値50ppm)+モルトスター製(フェノール値40ppm)
年間生産量330万PAℓ
輸入代理店サントリースピリッツ社

スモーキーなウイスキーの代表格で、アイラモルトで最も販売量が多い。スモーキーさとフルーティーさがしっかりとバランスよく感じられる美酒。現在7つの蒸溜所しか行っていないフロアモルティングを行っている。

1960年代から女性初の蒸溜所所長となったベッシー・ウィリアムソン女史がキーパーソン。またチャールズ皇太子のお気に入りとしても知られ、1994年・2008年・2015年と3回来訪。ワラントを授与されている唯一のモルトウイスキー蒸溜所だ。さまざまな見学プログラムが設定されている。

ボウモア Bowmore

所有社ビーム・サントリー社
創業1779年
名前の意味「大きな岩礁」「大きな家」
仕込水ラーガン川 アイラ島最大の川
麦芽フロアモルティング(フェノール値25~30ppm)+モルトスター製(フェノール値25~30ppm)
年間生産量200万PAℓ
輸入代理店サントリースピリッツ社

「アイラの女王」にふさわしいフルーティーな華やかさとスモーキーフレーバーが複雑に心地よく感じられる。現在もフロアモルティングを行っている数少ない蒸溜所のひとつ。

No.1ヴォルツVAULTSと呼ばれる海面より低くなるスコットランド最古の伝説的な熟成庫があり、エリザベス女王の樽もここに置かれている。今回はここでハンドフィルボトルも販売されていた。蒸溜排水などを利用して、蒸溜所の隣に温水プールを造り島民に開放している。

ブナハーブン Bunnahabhain

所有社ディスティル社(南アフリカ共和国)
創業1881年
名前の意味「河口」の意 マーガデイル川の河口
仕込水ラーガン川 アイラ島最大の川
麦芽モルトスター製(ノンピーテッド+フェノール値35ppm)
年間生産量200万PAℓ
輸入代理店アサヒビール社

ずんぐりとしたオニオン型蒸溜器が特徴的。様々な甘口系ワインの樽にて後熟を行っている。2000年から「ブラックボトル」用にピーテッド麦芽の仕込みを開始し、現在年に4~6週間ほど生産量の10%(今後は30%へ)を仕込んでいる。

ウイスキーの生産量も3年以内に300万PAℓへ増産する予定。モルトウイスキー用の樽はすべてアイラ島で熟成している。2019年秋にビジターセンターを新設など、今後大規模な改装を計画している。

アードナッホー Ardnahoe

所有社ハンター・レイン社
創業2018年製造開始
名前の意味「くぼ地を望む丘」
仕込水アードナッホー湖
麦芽ポートエレン・モルトスター製(フェノール値35ppm)
年間生産量100万PAℓを予定
輸入代理店ジャパン・インポート・システム社

ハンター・レイン社のスチュワート・レイン氏とご子息のスコット氏、アンドリュー氏とともに創業。独立系ボトラーズとしてアイラモルト原酒を得るために設立。

スチュワート氏はブルックラディで修業経験あり、アンバサダーとしてジム・マッキュワン氏を招聘している。蒸溜所マネージャーはアードナマッハン Ardnamurchan蒸溜所の立ち上げから関わったフレイザー・フューズ氏。現在、パゴダ屋根など建物はできているが内装や道路は準備中。生産については開始している。

初溜釜は12500ℓ容量、再溜釜9000ℓ容量、それぞれ7mと長いラインアームが特徴的な蒸溜器。ニューポットはやや重厚な印象。

カリラ Caol Ila

所有社ディアジオ社
創業1846年
名前の意味「アイラ海峡」
仕込水ナム・バン湖
麦芽ポートエレン・モルトスター製(フェノール値34~38ppm)
ノンピーテッドも使用
年間生産量650万PAℓ
輸入代理店モエ・ヘネシー・ディアジオ社

アイラ最大級の蒸溜器で、ダントツの生産量を誇る。ガラス張りの蒸溜棟からのぞく蒸溜器が印象的である。

ピーテッド麦芽はラガブーリンと同じ麦芽を使用しているが、よりシャープなピート感を楽しめる。「アン・ピーテッド」としてノンピーテッド麦芽でも全生産量の30%程度仕込みを行っており、ジョニー・ウォーカーなどのブレンデッド原酒として全生産量の85%が使用されている。

2020年に新しいビジターセンターを建設予定。

ブルックラディ Bruichladdich

所有社レミー・コアントロー社
創業1881年
名前の意味「海辺の丘の斜面」
仕込水丘の上の貯水池(hillside loch)、the Bruichladdich Burn、James Brown’s spring
麦芽モルトスター製(ノンピーテッド+フェノール値80~300ppm)
年間生産量70万PAℓ
輸入代理店レミー・コアントロー・ジャパン社

ブルックラディ、ポート・シャーロット、オクトモアなどピートレベルの異なるモルトウイスキーやボタニスト・ジンなどさまざまなアイテムをリリースしている。

糖化槽など多くの設備が創業当時のものを使用しており、博物館のような印象。蒸溜器も油でポリッシュするためチョコレート様の色合いで印象的。スコットランド産大麦のみ使用し、特にアイラ島産のみの麦芽で仕込んだ「アイラ・バーレイ」もリリース。近々にフロアモルティングによる製麦も行う予定。

キルホーマンKilchoman

所有社アンソニー・ウィリス氏
創業2005年
名前の意味「ホーマン教会」
仕込水ロックサイドファーム内の湧水
麦芽フロアモルティング(フェノール値20ppm)+ポートエレン・モルトスター製(フェノール値50ppm)
年間生産量9万PAℓ
輸入代理店ウイスク・イー社

アイラ島で、原料からボトリングまでをすべて島内で行える唯一の蒸溜所。初溜釜3230ℓ、再溜釜2070ℓと大変コンパクトな蒸溜所。ボトリングラインは1日2000本を詰めることができる。

スタンダードアイテムは、バーボン樽主体のマキア・ベイとシェリー樽主体のサニック、どちらも同じ50ppmの麦芽を使用しているがピートの印象はシェリー樽の方がやわらかく感じる。2018年内に現在と全く同じ生産棟を建設して生産量を2倍にし、来年3月には新しいビジターセンターを建設する予定。

アイル・オブ・ジュラ Isle of Jura

所有社エンペラドール社(フィリピン)
創業1810年
名前の意味「鹿の島」
仕込水マーケット湖
麦芽モルトスター製(ノンピーテッド+フェノール値55ppm)
年間生産量220万PAℓ
輸入代理店——–

アイラ島のお隣にあるジュラ島、島民230人程度に対し鹿が5~6000頭いることで有名。この島へのアクセスはアイラ島のポート・アスケイグからフェリーしかない(所要時間5分)。

蒸溜所は港から車で10分ほどのクレイグハウス村の中心に位置する。この湾からの眺めは時間を忘れるほど素晴らしい。通常はノンピーテッド麦芽で仕込むため穏やかなウイスキーだが、7~8月中の一か月間だけ55ppmのヘビリーピーテッド麦芽での仕込を行う。

アイラ・ハウス・スクエア Islay House Square

ボウモアの隣町・ブリッジエンドにあるホテルやショップなどが集まる施設。

アイラ・ハウス・ホテルはもともと100年以上の歴史のある個人の邸宅で、エリザベス女王やイギリス首相らが訪島した際にゲストハウスとして使われていた。

2016年からはホテルとして一般でも宿泊できるようになり、ゆったりとした時間を楽しめる落ち着いた雰囲気のホテルである。

ピートカッターバーにはアイラ島のレアなウイスキーはもちろん、地元のエールも楽しむことができる。 また敷地内には、アイラ島唯一のビール醸造所「アイラ・エール」や、新しくできた「アードナッホー蒸溜所」のアンテナショップ、アイラ島に関するアート作品を扱う「Islay Studios」、お土産屋などがそろい、新しいスポットとして注目されている。

アイラモルトウイスキー・テイスティングマップ

アイラモルトウイスキーの特徴はピート由来の香味にあります。

今回は、アイラモルトウイスキーで中庸でバランスの良い「ボウモア12年」を中心として、ピート由来の香味の強度と酒質の重さ・飲み口のボディー感とでマップを作成してみました。

ご参考まで!

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この記事を書いた人

谷嶋 元宏
谷嶋 元宏https://shuiku.jp/
1966年京都府生まれ。早稲田大学理工学部在学中よりカクテルや日本酒、モルトウイスキーに興味を持ち、バーや酒屋、蒸留所などを巡る。化粧品メーカー研究員、高校教員を経て、東京・神楽坂にバー「Fingal」を開店。2016年、日本の洋酒文化・バーライフの普及・啓蒙を推進する「酒育の会」を設立、現在に至る。JSA日本ソムリエ協会認定ソムリエ。
谷嶋 元宏
谷嶋 元宏https://shuiku.jp/
1966年京都府生まれ。早稲田大学理工学部在学中よりカクテルや日本酒、モルトウイスキーに興味を持ち、バーや酒屋、蒸留所などを巡る。化粧品メーカー研究員、高校教員を経て、東京・神楽坂にバー「Fingal」を開店。2016年、日本の洋酒文化・バーライフの普及・啓蒙を推進する「酒育の会」を設立、現在に至る。JSA日本ソムリエ協会認定ソムリエ。