運営:酒育の会

LIQULはより良いお酒ライフをサポートする団体「酒育の会」のWEBメディアです

  • コラム
  • リカルライター紹介

コラム ブランデーコラム コニャックのコミュニティと...

コニャックのコミュニティと産業:大手と小規模生産者の関係性は?

グランドシャンパーニュで最も高い丘にある畑

2019年12月、2週間ほどブランデーの聖地、フランスのコニャック地方に滞在してきました。大手コニャックメーカーから家族経営のコニャック生産者、蒸留家やワイン生産者、樽メーカーに至るまで様々な場所を訪問し、多くの事を学ぶ機会に恵まれました。

コニャック生産者の内訳と規模

コニャックという地域はその名の通り、コニャックのための産業都市といっても過言ではないかもしれません。コニャックを生産できるエリアの中には2019年時点で約4280のワイン生産者、117の蒸留家、そして271のコニャック生産者が存在します。そしてその周りにはグラス製造所から樽メーカー、コニャックを輸出するための運送会社などコニャックに関するありとあらゆるものがコンパクトに収まっています。

マーテル本部の屋上から見下ろしたコニャックの街全体の風景

コニャックは実に生産量の約97%以上がフランス国外に輸出されており、年間の売上は約4000億円に上ります。最大の消費量を誇るのはアメリカで、続いて中国となっています。

コニャックメーカーのシェアを見ると、2019年時点では上からヘネシー、マーテル、レミーマルタン、クルボアジェといった大手メーカーが全体の83%を占めています。一見すると大手・中堅のコニャック生産者と家族経営の小規模コニャック生産者は対立しているように思われがちです。

しかし実際は多くの小規模生産者と大手・中堅生産者は共存関係にあります。

大手メーカーは小規模コニャック生産者からコニャックの原酒や樽を供給してもらうことでコニャックの生産を賄い、小規模生産者はそれにより経済的な潤いと様々なノウハウを交換することでコニャック産業全体が循環し潤っています。もちろん中にはどこにも依存せずに完全に独立した生産者も存在しますが、お互いがお互いを支えあうコニャック産業の中では、どの立場の生産者も欠かせない存在です。

表には出ないコニャックの立役者

コニャックの全体的な印象としては、日本と同じく少子高齢化……というよりも若い人達が外に出て行ったり、後を継ぐ人達が年々少なくなっていたりと、やや不安な声もあります。

実際にこれまで素晴らしい原酒を蒸留・熟成し、大手・中堅生産者に提供してきた農家が父親の世代で途絶えてしまい、宝箱のような素晴らしいコニャックが樽の中に眠ったままだったり、誰かが拾わなければずっと日の目を見ることのないダイヤモンドの原石のようなコニャック達が多く存在するのは事実です。

私達が最終的に手にするコニャックのボトルの背景には、決して表には出ることのない多くの関係者が存在します。コニャックの元となるワイン農家、蒸留の専門家、樽職人、ラベルデザインのプロセス……コニャック地方という狭い地域にこれだけ多くの人々の歴史と情熱、そして魂が込められている事を思うと、これまで一度味わったコニャックでもまた一段と重みが増し感慨深い味わいとなります。

2019年のコニャック訪問は、私にとって改めてコニャックへの愛情を深めてくれたと共に、この素晴らしいお酒をもっと世に広めたいと思わせてくれる貴重な機会となりました。

この記事を書いた人

アツロー
アツローhttps://brandydaddy.com/
福岡県出身。20歳の頃よりカクテルに興味を持ち、バー巡りにハマる。その後様々なバーとカクテルイベントを共催するうちにブランデーの魅力の虜になる。web エンジニアとしての仕事の傍ら、自身のブログ「Brandy Daddy」にてweb を介してブランデーの魅力を発信できるよう日々奮闘中。妻と子供とブランデーを愛するおとーさんである。
アツロー
アツローhttps://brandydaddy.com/
福岡県出身。20歳の頃よりカクテルに興味を持ち、バー巡りにハマる。その後様々なバーとカクテルイベントを共催するうちにブランデーの魅力の虜になる。web エンジニアとしての仕事の傍ら、自身のブログ「Brandy Daddy」にてweb を介してブランデーの魅力を発信できるよう日々奮闘中。妻と子供とブランデーを愛するおとーさんである。