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ウイスキーの種類・造り方・飲み方:もっと洋酒を楽しむためのFirst Step

ウイスキーって何?ウイスキーの定義と種類

ウイスキーは世界各国で造られています。その定義は国によって異なりますが、一般的には以下の三つの条件を満たしているとウイスキーということができます。

①原料が穀物であること(大麦・小麦・ライ麦・トウモロコシなど)

②原料である穀物を糖化・発酵・蒸留した蒸留酒であること

③木製の樽で熟成を行っていること

スコッチウイスキーの条件

スコッチ・ウイスキーでは、以下の条件がさらに付加されています。

①穀物原料由来の酵素で糖化を行うこと

②蒸留は94.8%以下で行うこと

③樽熟成は700ℓ以下のオーク樽で3年以上行うこと

新たにウイスキーを製造している国々やクラフト蒸留所の多くは、この条件に沿ってウイスキー造りをしています。

ウォッカや他の蒸留酒との違いは?

ウォッカは穀物を原料にした蒸留酒ですが、一般的に樽熟成を行わないのでウイスキーとはいえません。また多くの場合、アルコール度数を96%程度まで上げますので、この点でもウイスキーとはいえないこととなります。

樽熟成を行った麦焼酎や米焼酎は、原料が穀物で蒸留酒ではありますが、糖化・発酵を麹菌のはたらきで行いますので、スコッチや日本の基準ではウイスキーとはいえません。

ただ、アメリカでは穀物原料の蒸留酒で樽熟成を行えばウイスキーといえるため、これら焼酎がウイスキーとして流通しています。生産国である日本ではウイスキーとはいえませんが、海外ではウイスキーとして流通している……これは日本のウイスキーが世界的に高い評価を得ていることに起因しているとともに、日本のウイスキーの定義が他国と比べて緩いためともいえます。

ウイスキーの5大産地とそれぞれの特徴は?

ウイスキーの生産地としては、その生産量やクオリティーなどから一般的に五つの地域(スコットランド・アイルランド・アメリカ・カナダ・日本)が挙げられます。それぞれ原料や製法が異なり、特徴的な香味が楽しめます。

また、昨今のクラフトウイスキーブームによって小規模での製造方法が普及し、多くの国々でウイスキーが造られるようになってきました。ヨーロッパの多くの国々はもちろんのこと、オーストラリアやニュージーランド、南アフリカ、台湾、インドなどでも造られています。そのクオリティーは上記の五つの地域にも劣らない素晴らしいものも多くみられます。

スコットランド(スコッチ・ウイスキー)

「ウイスキーといえばスコッチ!」といわれるほど、ウイスキーの代名詞的な存在です。北海道ほどの大きさの中に現在100以上の蒸留所が稼働しており、最もウイスキー生産量の多いエリアです。

個性豊かなシングルモルトと、バランスよく飲みやすいブレンデッドが、数多くリリースされています。シングルモルトは、一つの蒸留所で造られたウイスキーのみをボトリングしたもので、特にアイラモルトはその特徴的なスモーキーフレーバーで人気があります。ブレンデッドは、数十の個性的なシングルモルトと、まとめ役的なグレーンウイスキーをブレンドしたもので、ブランドごとの個性が楽しめます。

アイルランド(アイリッシュ・ウイスキー)

ウイスキーを最初に造った地域はどこでしょうか? 諸説ありますが、アイルランドが最も有力です。19世紀にはスコッチと生産量を分けるほど、その盛隆を誇っていましたが、20世紀になると衰退の一途をたどり、一時は蒸留所が2つまでに。しかし、ここ数年で数多くの蒸留所が新設され、現在最も活気があり、今後が楽しみな地域といえます。

スコッチに倣いシングルモルトを生産している蒸留所も多くありますが、アイリッシュ伝統のポットスチルウイスキーも負けてはいません。原料に大麦麦芽や未発芽大麦などを使用することで生まれる、より品の良い穀物様の甘さとオイリーなテクスチャーが魅力的です。

アメリカ(アメリカン・ウイスキー)

日本に入ってきているアメリカン・ウイスキーの多くはバーボンです。主原料であるトウモロコシ由来の甘味や、新樽由来のウッディさは、他のウイスキーとは一線を画す香味です。バーボンの主産地はケンタッキー州ですが、現在は全米中で造られています。

また、アメリカで当初造られていたライウイスキーも見直されてきており、多くのメーカーがリリースするようになっています。ライ麦由来の華やかな香りやスパイシーな味わいは、バーボンとは一味違う複雑さがあります。

アメリカは小さなクラフト蒸留所が数多く存在し、さまざまな穀物から他にはない独特な香味のウイスキーが造られており、若い世代を中心に楽しまれています。

カナダ(カナディアン・ウイスキー)

アメリカの禁酒法により最も発展したウイスキーで、その多くはアメリカ市場で楽しまれています。バーボンに近いフレーバリングウイスキーと、スコッチなどのグレーンウイスキーに似たベースウイスキーとをブレンドすることで造られています。そのためバーボンよりも軽やかでバランスよく飲みやすいのが特徴です。

カナダでもアメリカ同様、ライウイスキーが見直されており、数多くリリースされています。また、一定量の添加も認められていることから、カクテルのような、より個性的な香味のウイスキーもリリースされています。

日本(ジャパニーズ・ウイスキー)

日本のウイスキーはスコッチの製法を踏襲してきたため、その香味の特徴はスコッチと似ています。サントリーはバランスよく華やかな香味、ニッカは重厚で力強い香味、キリンは香り高くクリーンな香味が特徴です。

以前は国内での消費がほとんどでしたが、近年様々なコンペなどでそのクオリティーの高さ、日本らしい個性が認められ、世界中から注目を集めるようになりました。

また、ベンチャーウイスキー・秩父蒸溜所の世界的な高評価とも相まって、ここ数年多くの蒸留所が誕生、計画もされています。

次々に蒸留所ができるのは大変楽しみなことですが、ウイスキーはタイムスパンの長さ、維持コストの高さなど、難しい面もあります。1980年代にも同様のムーヴメントがあり、その後多くの蒸留所が撤退した経緯もあります。

ウイスキーはどのように造られるの?

ここでは、代表的なウイスキーであるモルトウイスキーとバーボンウイスキー、スコッチなどのブレンデッドウイスキーで用いられるグレーンウイスキーの製法について、その流れをフローチャートに表します。

※画像クリックで拡大

ウイスキー製法のフローチャート
【モルトウイスキー】
二条大麦を製麦→大麦麦芽(モルト)→粉砕→糖化槽にて仕込糖化→発酵槽で発酵→単式蒸留器で蒸留(初流)→単式蒸留器で再留→オーク樽で熟成見→ブレンド・加水・ろ過→瓶詰め
【グレーンウイスキー】
トウモロコシ・小麦・大麦麦芽(モルト)→粉砕→クッカーで煮沸糖化→発酵槽で発酵→連続式蒸留機で蒸留→オーク樽で熟成→ブレンド・加水・ろ過→瓶詰め
【モルトウイスキー】
トウモロコシ・ライ麦(または小麦)・大麦麦芽(モルト)→粉砕→クッカ―で煮沸糖化→発酵槽・ファーメンターで発酵→ピアスチル・ダプラー・連続式蒸留機で蒸留→オーク新樽で熟成→ブレンド・加水・ろ過→瓶詰め
【ブレンデッドウイスキー】
モルトウイスキー+グレーンウイスキー→タンクにてブレンド、加水→(樽で後熟)→ろ過→瓶詰め

フローチャートPDFダウンロード

製法別ウイスキーの香味の特徴

モルトウイスキーの香味

  • 個性がはっきりとしている
  • ボディーが厚く、飲みごたえがある
  • 香り豊かで、味わいも深い
  • バリエーションが多い

グレーンウイスキーの香味

  • 穏やかな香味
  • ボディーは軽く、やわらかい
  • 樽の影響を受けやすい
  • 蒸留所による差は少ない

バーボンウイスキーの香味

  • 新樽由来の香味
  • ボディーは厚く、しっかりとした味わい
  • メープルシロップ様の甘さ
  • 香味の構成はシンプル

樽熟成の役割と樽の種類

蒸留によって得られた液体をニューポット(アメリカではホワイトドッグ)などと言いますが、この時点では無色透明です。ウイスキーの魅惑的な琥珀色は樽からもたらされるのです。併せて、さまざまな香味成分も樽から付加されます。

樽は穏やかに呼吸をしており、外界に不快な香気成分やアルコール、水分などが抜けてゆき、熟成中にアルコール度数は徐々に下がります。また、樽内には外気から酸素がもたらされ、酸化反応やエステル化など様々な反応が起こり、新たな香気成分が生成されます。

樽材には、一般的にアメリカやヨーロッパ産のオークが用いられます。バーボンは新樽でのみ熟成されます。スコッチに新樽はあまり用いられず、バーボンやシェリー酒に一度使用された樽が主として使われます。その他にもラムやポート、ビール、ワインなどの樽も用いられていますが、これらは多くの場合ウッドフィニッシュとして短期間のみの追加熟成に使われます。

樽の容量と樽の名前

樽は、その容量などにより名前が決まっています。ウイスキーで多く使用される樽は以下の5種類で、容量が小さいほど樽材からの影響が強く付加されます。

・バレル(barrel):180L~200L

・ホグスヘッド(hogshead):250L

・パンチョン(puncheon):480L~520L

・バット(butt):500L

・クォ-ターカスク(quarter cask):127L~159L

もっとウイスキーを楽しむために!ウイスキーの色々な飲み方

ウイスキーは、様々な飲み方で楽しむことができます。その時の気分やTPOで選んでみましょう!

①ストレート

ウイスキーをそのまま楽しむ方法で、その味わいをしっかりと感じとれる飲み方です。最初はアルコールの刺激が強く感じられると思いますが、少しずつ慣れてくると、よりそのウイスキーの個性を楽しめるようになります。通常チェイサーと呼ばれる水が一緒にサーブされますので、合間に飲みながらじっくりと味わってください。

また、グラスによっても感じ方が変わりますので、いろいろ試してみるのもよいでしょう。飲み比べをするときは同じグラスで!

②オン・ザ・ロック

氷を入れたロック・グラスにウイスキーを注いで、ウイスキーを冷やして楽しむ方法です。

ウイスキーの飲み方としては、ストレートより一般的ですが、冷やすことで香りや甘味を感じにくくなってしまいます。ただ、アルコール感は和らぎますし、氷が解けることで味わいの変化も楽しむことができます。

若い、アルコール度数が強い、味わいが濃いウイスキーや夏場にはより楽しめる方法といえます。こちらもチェイサーとともにゆっくりと楽しみましょう。

③水割り

氷を入れたグラスにウイスキーを注ぎ、水をウイスキーの3倍量程度加えて楽しむ方法です。

アルコール度数は10%程度で飲みやすいですが、ウイスキーそのものの個性は感じ取りにくくなります。食事と一緒に楽しむ時に最適で、加える水によっても味わいは変わります。一般的にはミネラルが少ない軟水(硬度が100以下)の方がまろやかになりますが、いろいろと試してみるのも面白いでしょう。

加える水の量をウイスキーと同量程度にする「ハーフ・ロック」も試してみてはいかかでしょう。濃いめの水割りともいえる飲み方ですが、ウイスキーの個性も楽しめ、程よい飲みやすさで、日本の気候などにも合った楽しみ方です。

おいしい水割りをつくってみよう!

※あくまで一例として、お試しください!

  1. グラスに氷を多めに入れ、そこにウイスキーを注ぐ
  2. マドラーやバースプーンでしっかりとまわし混ぜる
  3. 冷やした水をウイスキーの3倍量、ゆっくりと加える
  4. 再度、軽くまぜあわせる
  5. 氷の上に、そっと少量のウイスキーをのせる

④ソーダ割り・ハイボール

氷を入れたグラスにウイスキーを注ぎ、ソーダをウイスキーの3倍量程度加えて楽しむ方法です。水割りと同じアルコール度数ですが、香りをより感じられ、炭酸のシュワシュワ感を楽しむことができます。食事とも合いますし、バーでの最初の一杯としてビールやジントニックの代わりに楽しむのもよいでしょう。

ウイスキーによってその味わいは大きく変わります。スタンダードなブレンデッドウイスキーのほかに、バーボンやアイラモルトのような個性豊かなウイスキーのハイボールもその香味がしっかりと心地よく感じられますので、一度試してみてください。

また、水割り同様、使うソーダによっても味わいは変わってきます。ガス圧の強さや泡の細かさなどで感じ方が変わりますので、こちらもいろいろと楽しんでみてください。

おいしいハイボールをつくってみよう!

※あくまで一例ですよ!

  1. グラスに氷を多めに入れ、そこにウイスキーを注ぐ
  2. マドラーやバースプーンでしっかりとまわし混ぜる
  3. 冷やしたソーダをウイスキーの3倍量、氷に当てないようにそっと注ぐ
  4. ソーダの泡をつぶさないように、バースプーンで氷を上下させて、ゆっくりと混ぜ合わせる
  5. 氷の上に、そっと少量のウイスキーをのせる

⑤ウイスキーカクテル

ウイスキーはそのままで十分に楽しむことができるお酒ですので、ジンやウォッカほどスタンダードなカクテルの種類は多くありません。ただ、その豊かな個性から素晴らしいカクテルもつくられています。ここでは代表的な2種類を紹介いたします。

マンハッタン

(ショートカクテル・アルコールやや強い・中甘口)

「カクテルの女王」と呼ばれる、最も有名なウイスキーベースのカクテル。甘さとスパイシーさがバランスよく、心地よいカクテルです。ベースにはカナディアンかバーボンが使われます。また、ややスモーキーなスコッチを用いるとその香味はよりふくよかになり、カクテル名もスコットランドの英雄の名前ロブ・ロイに変わります。

ミント・ジュレップ

(ロングカクテル・アルコールやや強い・中口)

「ケンタッキー・ダービー」のオフィシャルカクテル。以前はメーカーズ・マークがオフィシャルバーボンでしたが、現在はウッドフォード・リザーブになっています。ミントの爽やかな風味が心地よい夏向きのカクテルです。口当たりが良いのですが、アルコールはそれなりに高いのでご注意を! ソーダを多めにして飲みやすくするのもよいでしょう。

ウイスキーをもっと楽しむためのワード解説

シングルモルトウイスキー
single malt whisky

ひとつの蒸留所で造られたウイスキーのみをボトリングしたもの。

ブレンデッドモルトウイスキー
blended malt whisky

複数の蒸留所で造られたウイスキーをブレンドしボトリングしたもの。

シングルカスク
single cask

ひとつの樽からのウイスキーのみをボトリングしたもので、シングルモルトが多いが、中にはブレンデッドモルトの場合もある。

カスクストレングス
cask strength

加水せず、樽からそのままのアルコール度数でボトリングしたもので、略して「カスク」ということもある(カスクは元々「樽」の意味)。

ボトラーズ
bottler’s

正式には、インディペンデントボトラーズボトルindependent bottler’s bottle。蒸留所から樽でウイスキーを仕入れ、自社オリジナルのラベルでリリースされたウイスキーのこと。蒸留所詰めとは異なる個性を楽しめるが、一般的にシングルカスク・数百本のみリリースの場合が多い。

ウッドフィニッシュ
wood finish

熟成後に、別の樽で追加熟成を行うこと。通常は数か月から数年程度、シェリーやポート、ワインなど香り高い酒類を熟成した樽にて行われる。

ノンチル
non-chill

正式にはノンチルフィルタレーション non-chill filtration。低温濾過処理を行わないウイスキーのこと。低温にて濁りとして析出してしまう脂肪酸などを取り除くことを低温濾過というが、これを行わないことでウイスキーの風味はよりふくよかになると考えられている。一般的にアルコール度数46度以上の場合、低温濾過は行われないことが多い。

リフィルカスク
refill cask

一度、酒類の熟成に使用した樽のこと。

スコッチでは一般的に新樽は使用せず、使用済みの樽・リフィルカスクを使う。最初にスコッチを入れた樽をファーストフィル first fill、スコッチを払い出して再度詰めた樽をセカンドフィル second fillという。回数を重ねるにつれ、徐々に樽からの影響は弱くなる。

スモールバッチ
small batch

通常のボトリング数に対して、少量でボトリング・リリースされたウイスキーをいう。一般的に数樽・数百本程度のボトリングだが、具体的な基準はなく、各社・各ブランドに任されている。

この記事を書いた人

谷嶋 元宏
谷嶋 元宏https://shuiku.jp/
1966年京都府生まれ。早稲田大学理工学部在学中よりカクテルや日本酒、モルトウイスキーに興味を持ち、バーや酒屋、蒸留所などを巡る。化粧品メーカー研究員、高校教員を経て、東京・神楽坂にバー「Fingal」を開店。2016年、日本の洋酒文化・バーライフの普及・啓蒙を推進する「酒育の会」を設立、現在に至る。JSA日本ソムリエ協会認定ソムリエ。
谷嶋 元宏
谷嶋 元宏https://shuiku.jp/
1966年京都府生まれ。早稲田大学理工学部在学中よりカクテルや日本酒、モルトウイスキーに興味を持ち、バーや酒屋、蒸留所などを巡る。化粧品メーカー研究員、高校教員を経て、東京・神楽坂にバー「Fingal」を開店。2016年、日本の洋酒文化・バーライフの普及・啓蒙を推進する「酒育の会」を設立、現在に至る。JSA日本ソムリエ協会認定ソムリエ。