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アメリカンウイスキーの進撃①『バーボンウイスキーの条件』

現在世界中でウイスキーがブームとなっており、蒸溜所も数多く新設されています。特にクラフト蒸溜所と呼ばれる小規模蒸溜所も多く、それぞれ個性豊かなウイスキーをリリースしています。

その最先端がアメリカです。トウモロコシ主体のバーボンウイスキー以外に、ライ麦や小麦のほか、キヌアやミレットなどさまざまな穀物を原料としたウイスキーが造られています。また、ムーンシャインと呼ばれる密造酒時代のスピリッツを再現したものもリリースされています。

町々にクラフトビールメーカーがあったり、ガレージワインと呼ばれる小規模ながら高品質で高価なワインが造られているように、開拓者精神・アメリカンスピリッツはまさにスピリッツにも波及しています。

多様化が進むアメリカンウイスキーのトレンドを探ってみましょう!

アメリカンウイスキー

「アメリカンウイスキー」は、アメリカ国内で造られるウイスキーで、連邦アルコール法(Federal Alcohol Administration Regulations)で以下のように規定されています。

穀物を原料とし、発酵させ、アルコール度数95%以下で蒸溜し、オークの容器(containers)で貯蔵、アルコール度数40%以上で瓶詰めしたもの

この条件を満たした上で、原料などにより以下のような分類がされています。

①バーボンウイスキー(bourbon whisky)

②ライウイスキー(rye whisky)

③ウィートウイスキー(wheat whisky)

④モルトウイスキー(malt whisky)

⑤ライモルトウイスキー(rye malt whisky)

⑥コーンウイスキー(corn whisky)

⑦その他

①から⑤については、原料の51%以上をそれぞれトウモロコシ、ライ麦、小麦、大麦麦芽、ライ麦芽とし、アルコール80%以下で蒸溜、内側を焦がしたオークの新材でつくられた容器に62.5%以下で貯蔵したものとされています。

⑥のコーンウイスキーについては、原料にトウモロコシを80%以上使用し、アルコール80%以下で蒸溜、貯蔵を行うオークの容器は古樽か内側を焦がしていない材とされています。また、それぞれ2年以上の貯蔵を行ったものはラベルに「ストレートstraight」の表記ができます。

バーボンウイスキーの条件

アメリカンウイスキーの中で最も生産量が多く、日本でも馴染みがあるのはバーボンウイスキーです。バーボンウイスキーを名乗るためには下記の条件が必要となります。

  1. アメリカ国内でのみ製造される

 ケンタッキー州以外でも製造可能

2. 原料の51%以上がトウモロコシ

その他はライ麦(もしくは小麦)、大麦麦芽の合計3種類の穀物が使われる

3. アルコール度数80%以下で蒸溜

二塔式の連続式蒸溜機が使われるが、一般的にアルコール度数70%前後とそれほど高めではないため原料由来の個性が強く感じられる

4. 内側を焦がしたオークの新材を使用した容器で貯蔵

 あくまで容器コンテナーとしているが、ほとんどの場合内側を焦がした新樽を使用

5. 熟成期間については規定なし

 ストレート・バーボンと名乗るには2年以上の貯蔵が必要

*ケンタッキー州では、州内で造られ1年以上の貯蔵がされたものはケンタッキー・バーボンと名乗ることができる。また、4年未満のものについてはラベルに熟成期間を表示しなければならないため、多くのケンタッキー・ストレート・バーボンは4年以上の貯蔵を行っている

6. ボトリングに際しては希釈用の水以外加えることができず、アルコール度数は40%以上とする

着色用のカラメル添加は不可

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この記事を書いた人

谷嶋 元宏
谷嶋 元宏https://shuiku.jp/
1966年京都府生まれ。早稲田大学理工学部在学中よりカクテルや日本酒、モルトウイスキーに興味を持ち、バーや酒屋、蒸留所などを巡る。化粧品メーカー研究員、高校教員を経て、東京・神楽坂にバー「Fingal」を開店。2016年、日本の洋酒文化・バーライフの普及・啓蒙を推進する「酒育の会」を設立、現在に至る。JSA日本ソムリエ協会認定ソムリエ。
谷嶋 元宏
谷嶋 元宏https://shuiku.jp/
1966年京都府生まれ。早稲田大学理工学部在学中よりカクテルや日本酒、モルトウイスキーに興味を持ち、バーや酒屋、蒸留所などを巡る。化粧品メーカー研究員、高校教員を経て、東京・神楽坂にバー「Fingal」を開店。2016年、日本の洋酒文化・バーライフの普及・啓蒙を推進する「酒育の会」を設立、現在に至る。JSA日本ソムリエ協会認定ソムリエ。