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蒸溜所探訪Vol.4「日本・ナインリーヴズ蒸留所 」隠し事ない正直なラム

ラムの産地といえば、カリブ海など南の島を思い浮かべるでしょう。実際、キューバやジャマイカ、マルティニークなどから素晴らしいラムが造られています。原料がサトウキビであることからも、そのイメージは当然です。ただ、多くのラムの原料が糖蜜であることを考えると、特に産地はどこでも構わないともいえます。

また、ラムにはスコッチやコニャックのような明確な製法の規定がありません。これは、カリブ海をはじめ、東南アジア、インド洋、アフリカなど、多くの国々で造られているためでもあります。もちろん、それぞれの国ごとで規定はありますし、フランス領のマルティニーク産ラムでは原産地呼称法AOCが定められていますので、細かな規定がなされています。

ラムは、その元領主国の技術により、その嗜好に合わせた香味を具現化しています。ただ、製法などについて不明確な部分も多くあるように感じます。特に樽熟成を施したダークラムの熟成方法について、ノウハウにあたる部分もあるので仕方ないのかもしれませんが、明確に説明がなされていないように思います。

ウイスキーも多くの国で造られていますが、クラフト蒸留所含め、多くのメーカーはスコッチの製法に準じています。スコッチの製法は、モルトウイスキー・グレーンウイスキーともに、程よく緩く、ポイントはしっかりと抑えているように感じます。そのため、高い品質を保持しながら、多様性のある個性豊かな香味を有していると考えられます。

またスコットランドの蒸留所の中には製造研修を請け負っているところもあり、その技術やノウハウを広める場もあります。これにより、世界各国でモルトウイスキーを造ろうとするクラフト蒸留所が数多く設立されているのです。

ラムは日本でも、沖縄や鹿児島、小笠原などで造られています。ただ、その生産量は少なく、あまり流通していないのが現状です。原料が同じで、税率の面で有利な黒糖焼酎が造られていることも要因でしょうか。また、全ての国産酒の宿命ですが、様々なコストが高くなってしまい、価格面で外国産に太刀打ちするのが難しいことも挙げられます。そのため、より高いクオリティが求められています。

孤高の造り手

滋賀県大津市に、一人でラムを造っている職人がいます。蒸留所の創業者であり、蒸留責任者である竹内義治氏です。

竹内氏

氏は、祖父の代から続く大手自動車メーカーの協力会社・竹廣株式会社で、代々クルマの部品製造を担ってきました。その中、「最初から最後まで、自分の思いと目が届く完成品を作ってみたい」との思いから、他業種であるお酒造りに挑戦することに。これまで日本経済の基幹産業である自動車業界で、日本の「ものづくり」を支えてきた自負から、ラムに対しても強いこだわりをもって「ものづくり」されています。

ラム造りを選んだのは、ウイスキーと比べて他に造っているメーカーが少なかったことと、ラムそのものの可能性を感じたから。製法に関しては研修を行った秩父蒸溜所を参考に、モルトウイスキーに近い造り方をしています。

蒸留所の完成は、ラム造りを決意してからおよそ2年後の2013年3月、酒造免許が下りたのも同月です。まだ現在のようなクラフト蒸留所ブームになる前での決断でした。

蒸留所名の「ナインリーヴズ  NINE LEAVES」は竹内氏の家紋である9枚の葉が描かれている「九枚笹」から命名。このラム造りについても、新しい家業として続けていきたいとの思いが込められています。

超軟水の良質な湧き水

蒸留所のある場は、透明な釉薬となる土を採掘する長石鉱山の近く。ここの坑道は年間を通じて16℃に保たれており、この中に熟成庫も設けられています。

坑道からの冷気

この地下50mには水脈があり、硬度12程度の良質な超軟水が得られ、これを仕込み水としています。実際この湧き水は、ミネラルウォーターとしても販売されています。

ちなみに地下70mからは、しみ込んだ雨水も流れ出てきており、この水は冷却水などに使用しています。

通常ラムの蒸留所は、原料であるサトウキビや糖蜜を確保しやすい場所に建てられます。ナインリーヴズの場合は、良水が得られる場所に設立しており、これはウイスキーや日本酒などと同じで、ラムの蒸留所としては珍しいといえます。

原料へのこだわり

ラムの原料といえばサトウキビですが、その搾り汁をそのまま使うアグリコールで仕込んでいる蒸留所は仏領マルティニークなど限られた地域のみです。これはサトウキビがとれる時期しか造れないことや、搾った直後から酸化や自然発酵が進んでしまい、直ちに仕込まなければならないなど制約が多いためです。ただ、自然なサトウキビの風味がしっかりと得られる傾向にあるので、この方法で仕込んだラムは、華やかでまろやかな心地よい香味になります。

多くのラムは、サトウキビの搾り汁から結晶化した糖分を取り除いた糖蜜を原料としたトラディショナルという製法で造られています。これは保存性が高く、入手も容易であることからです。この方法では糖分を取り出す際に加熱を伴うため、これを原料としたラムにはややコクのある風味が付加されます。

ナインリーヴズでは、多良間島や波照間島など沖縄県産の黒糖を原料としています。

原料の黒糖

ラムの原料による分類上、ハイテストモラセスになります。これはサトウキビの搾り汁から砂糖を結晶化させずに濃縮しシロップ状にしたもので、より水分を飛ばしたものが黒糖になります。アグリコールとトラディショナルの中間のようなラムが得られる傾向にあります。

この黒糖150㎏を約70℃に温めた仕込水に溶かして900ℓの砂糖水を造ります。この割合は酵母が増殖し、働きやすい糖度になるよう調製されたものです。ここに酵母を加え発酵させるわけですが、いろいろ試した結果、国産で温度管理が必要なあまりスピリッツでは使われない酵母を使用していて、詳細は秘密とのことでした。

発酵はステンレス製発酵槽2基で行い、4日間でアルコール度数6~7%のもろみを得ます。発酵により熱が発生するため、適した液温を保持するようクーリングジャケットなどで管理しています。

ステンレス製発酵槽・冷却用のジャケットが巻かれている 奥の緑の容器で黒糖を溶かす

ラムとしては独特な蒸留方法

多くのラムは、多塔式の連続式蒸留機にて造られています。ガイアナなど元英国領の国では単式蒸留器も使用されていますが、現在は一部の銘柄で使用されているのみです。

ナインリーヴズでは、モルトウイスキーで主に使われているスコットランド・フォーサイス社の単式蒸留器2基にて蒸留を行っています。

蒸留所内部 コンパクトに設置されている
スコットランド・フォーサイス社製蒸留器 左が初留釜・右が再留釜

初留釜はネックが太めのランタン型で、ここにもろみ900ℓ程度を投入します。3時間ほどをかけてアルコール度数18%程度の初留液320~360ℓを得ます。加熱はスチームによる間接加熱、冷却はシェル&チューブ式です。

再留釜はネックの長いバルジ型で、スコットランドのグレンモーレンジィ蒸溜所をイメージしたものです。初留液2バッチ分を張り込み、アルコール度数70%程度の本留液180~200ℓを得ます。ここでもモルトウイスキー同様にミドルカットを行いますが、カットポイントについては官能にて決めています。前留や後留の扱いもモルトウイスキーと同じサイクル(前留液・後留液は次ロットの初留液と混ぜて、再度再留釜に投入する)で行っています。

生産量としては、年間6000ℓの製品をリリースしていますが、この量は製造免許の生産量の下限にあたります。

隠し事ない正直な味わい

ナインリーヴズで定番としてリリースされているのは2種類。

https://www.nine-leaves.com/product

ひとつは、ホワイトラムタイプの『ナインリーヴズ・クリア CLEAR』。その名前の通りクリアな香味で、特有のオイリーさがなく、口当たりもマイルドです。この『クリア』は、蒸留後アルコール50%まで加水してタンクに保管してあり、常時1トン分はあるように注ぎ足しながら、製品をリリースしています。

ホワイトラムとしないで『クリア』と命名したところにも、竹内氏の「ものづくり」に対する姿勢が表れています。隠し事なく、まっとうに造り上げられた素直な味わいを楽しめます。

もう一つは、バーボン樽での熟成を施した『ナインリーヴズ・エンジェルズハーフANGEL’S HALF』。「天使のおすそ分け」と名付けたこのラムは、バーボンで使用した樽にて熟成させたゴールドラムタイプです。良質のバーボン樽由来のしっかりとした樽の香味が心地よく広がります。

現在、『クリア』と『エンジェルズハーフ』はほぼ同量リリースされています。

蒸留所のある土地はほぼ京都と同じ気候で、夏は暑く冬は寒さが厳しいため、熟成が程よく進むと考えられます。先の坑道のほかに、環境の異なる熟成庫を数カ所有しています。

現在の樽保有数は、全体で百数十樽程度保管できるキャパがほどほどに埋まっている状態とのことです。

蒸留所では、バーボン樽以外にもフレンチオークやワイン樽、シェリー樽など様々な樽にて熟成を行っています。これらの樽の多くは現地に赴き、仕入れています。これらの原酒を用いて、限定品などをリリースしています。

ナインリーヴズは、原料の調達からボトリング・発送までを竹内氏自ら行っています。全ての工程に目を配り、妥協なくラムを造り上げるその姿勢は、まさに日本の職人そのものです。モルトウイスキーに準じた製法で、他のラムにはみられない綺麗でありながらコクのある香味、日本ならではのラムに仕上がっています。

まだ創業から7年程度ですが、海外のコンペなどで高い評価を得ています。今後の活動、商品から目が離せない蒸留所のひとつです。

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この記事を書いた人

谷嶋 元宏
谷嶋 元宏https://shuiku.jp/
1966年京都府生まれ。早稲田大学理工学部在学中よりカクテルや日本酒、モルトウイスキーに興味を持ち、バーや酒屋、蒸留所などを巡る。化粧品メーカー研究員、高校教員を経て、東京・神楽坂にバー「Fingal」を開店。2016年、日本の洋酒文化・バーライフの普及・啓蒙を推進する「酒育の会」を設立、現在に至る。JSA日本ソムリエ協会認定ソムリエ。
谷嶋 元宏
谷嶋 元宏https://shuiku.jp/
1966年京都府生まれ。早稲田大学理工学部在学中よりカクテルや日本酒、モルトウイスキーに興味を持ち、バーや酒屋、蒸留所などを巡る。化粧品メーカー研究員、高校教員を経て、東京・神楽坂にバー「Fingal」を開店。2016年、日本の洋酒文化・バーライフの普及・啓蒙を推進する「酒育の会」を設立、現在に至る。JSA日本ソムリエ協会認定ソムリエ。