この記事は、過去に行われた酒育の会の定番セミナー「テイスティング技術向上セミナー」の内容を総括した記事です。セミナー講師である谷嶋元宏氏のコメントをお楽しみ下さい。
この記事の目次
テーマ「ワイン樽後熟を再考する」
今回は2025年4月12日・13日に開催されたセミナーの総括です。テイスティングアイテムは下記の5つ。
- グレンアラヒー11年 プルミエクリュ クラッセワインカスクF
- ベンロマック12年 コントラストシリーズ ダブルマチュア―ド ボルドーワインカスクF
- アマドール ダブルバレル カベルネソーヴィニヨンバレルF
- カリラ2014 ウイスクイーEXP3 1stフィルソーテルヌカスクF
- カリラ2014 ウイスクイーEXP3 アマローネカスクF

総評 by 谷嶋元宏
昨今、ワイン樽後熟のウイスキーのリリースがふたたび目に入るようになってきた。
ワイン樽後熟というと2000年頃からグレンモーレンジィがシャトー・ムートン・ロートシルトやシャトー・マルゴー、DRCなど様々な高級ワインを使用した限定ボトルをリリースしてきた。その後、ブルゴーニュ赤ワイン樽後熟を定番としてリリースしていたが、現在はソーテルヌワイン樽となっている。またマーレイ・マクダヴィッド社などからも様々なワイン樽後熟ウイスキーがリリースされていた。当初は硫黄臭やワイン酸敗臭などか気になるものが多く、日本ではあまり評価されてなかったよう記憶している。
その後ワイン樽後熟ウイスキーはあまり見かけなくなってきたが、2015年頃からSTR処理を施したワイン樽を用いたウイスキーを見かけるようになった。これはジム・スワン氏が推奨したもので、ワイン樽の内側を削り(shaving)、遠赤外線加熱(toasting)、直火再加熱(re-charring)したもので、以前のワイン樽からもたらされた不快なニュアンスはみられなくなった。ただワインからもたらされる赤い果実感などのニュアンスは少なく、むしろフレンチオークの新樽感が強い印象である。ヨーロピアンオークは一般的にアメリカンホワイトオークよりも樹成分が豊富なため、アメリカンオークとは異なる香味が付加される。特に高級ワインで用いらるフレンチオークは当然だが高品質であり、ワイナリーでは2回までしか使用しないところが多い(1回18ヶ月程度)。アルコール度数も12〜15%程度と低いため、樹成分は豊富に残っていると考えられる。昨今のバーボン樽不足を踏まえても有用だと思われ、現在は後熟での使用がメインだが、セカンドフィルなど使用を重ねることで、ニューポットから熟成に用いたウイスキーがリリースされることだろう。楽しみに待ちたい。
今回のグレンアラヒーやベンロマックはSTR樽ではなく、さらに後熟というよりは長期間、ダブルマチュアードといえるウイスキー。不快なニュアンスはなく、心地よい赤い果実感・しっかりめのタンニン感を楽しめる。ワイン樽の良さをあらためて体感できるウイスキーである。ポイントは速やかに輸送し、直ちに樽詰めすることだと、アラヒーのビリー・ウォーカー氏がセミナーでお話しされていた。当然と言えば当然、シンプルな方法が有効なのである。今後もこのようなワインの風味を活かしたウイスキーがリリースされ、ニューポットからワイン樽で熟成したウイスキーも楽しめるだろう。ワイン樽熟成の新時代到来といえる、かも⁈
テイスティング技術向上セミナーとは?

この講座は、毎回テーマに沿ったウイスキー(ウイスキー以外のときもあります)を5アイテムご用意し、ブラインドでテイスティングを行って頂きます。事前にテーマをお知らせしませんので、当日テイスティングを進めるうちにテーマが見えてくるスタイルです。
ブラインドでウイスキーの銘柄を当てることは、ほぼ不可能ではないでしょうか?
従って、ここでは銘柄を当てることより「そのウイスキーが何なのかを推測する過程」 に重きを置きます。参加者の皆さまにテイスティングコメントを頂いた後、「そのウイスキーが何なのか」を推理していただきます。
テイスティングで感じた香味(ボディーの厚み、余韻の長さ、樽の使い方、ピートの効かせ具合など)から、製造工程の特徴を把握し、ウイスキーの銘柄を推測するこ とを体験していきましょう。また、この講座にはマスター・オブ・ウイスキーの方も参加されていますので、彼らのテイスティングコメントを聞きながらテイスティングできる貴重な機会となっております。
ほぼ毎月2回定期開催しております。
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