テキーラのボトルには、ユニークなものが多い。色付きのボトル、スカルや動物をモチーフにしたもの、ガラス細工やビーズ細工を施したもの。そんな中でも特に独創的なフォルムで目を引くのが「Clase Azul(クラセ・アスール)」だ。
ラグジュアリーテキーラとして、アメリカを中心に絶大な人気を誇るブランドで、2020年の夏から日本でも輸入が開始した。
新しい価値を与えるボトル
この、白い陶器に青い手描きのペイントが施されたボトルは、1本を仕上げるまでになんと12日間をも要する。メキシコにある「サンタ・マリア・カンジェスタ」という小さな町で、職人たちが手作りする陶器のボトルに、1本ずつハンドペイントで絵が描かれる。ボトルごとに違ったニュアンスを持ち、同じものは存在しない。この絵付けの作業は、雇用の公平性を重んじるブランドの理念により、全て女性の職人によってなされている。
テキーラを飲み干したあとも廃棄するのが忍びないほど美しいボトル。「Clase Azul(クラセ・アスール)」では、この使用済みのボトルに花を生けたり、キャンドルホルダーとして再利用することを提案している。リサイクルのさらに先、本来の役割を果たした後の物に新しい価値を加える「アップサイクル」を目標に掲げているのだ。
もちろん、素晴らしいのはボトルの外見だけではない。中を満たすテキーラもこだわりの詰まった逸品で、サンフランシスコやシカゴ、ロンドンなど世界各地のスピリッツコンペティションで輝かしい受賞歴があり、テキーラファンから多くの賞賛を受けている。
一番上質な蒸留液を使用
蒸留所の場所は、メキシコのハリスコ州。標高が高く、鉄分やミネラルが豊富な土壌で糖度の高いアガベが育つロスアルトス地方のヘスス・マリアにある。他にも名高いプレミアムテキーラの蒸留所をいくつも擁する町だ。
原料には契約農家のオーガニックアガベを用い8~10年をかけて大きく育てる。伝統的な石造りのオーブンで72時間をかけてゆっくりと糖化。蒸しあがったアガベはタオナ(石臼)で搾汁し、自社酵母で発酵。蒸留の工程では全量の80%をカットし、驚くべきことに使うのはわずか20%の一番上質な部分のみだという。
熟成にはアメリカンオークのバーボン樽を使い、バニラやキャラメル、フルーティさを強く感じる印象的な味。クリーミーでリッチな甘さは、ブルーアガベを長期栽培することによって得られる特徴だ。葉巻と合わせるのを好む人も多く、樽の香りもしっかりとしていてテキーラ初心者にも愛されやすい。
量よりも質:クラフトテキーラの神髄
この「Clase Azul(クラセ・アスール)」の生産にあたっては400人のスタッフが携わっているが、生産量は1年間でわずか80万リットル。とある有名なプレミアムテキーラブランドと比較すると、その1日の生産量にも満たない少量生産だそうで、量よりも質に重きを置いているクラフトテキーラであることがよくわかる。
一気飲みなどで消費されるためではなく、ゆっくりと時間をかけて賞味されるのにふさわしい、見た目も中身も秀逸なラグジュアリーテキーラ。
バーで楽しむのはもちろん、家飲み用に自宅に置いておけば、インテリアとしてもアクセントに。記念日の贈り物としても間違いなく喜んでもらえそう。ぜひチェックしてみて欲しい。