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冬に入ると、ドライジンのようなホワイトスピリッツよりも色つきのお酒を飲みたくなる。色付きのジンで思い出すのはベルギー、オランダで発祥したジンの元祖「ジュネヴァ」だろう。ジュネヴァは大麦、ライ麦、小麦などを原料に蒸溜されるジンであり、ドライジンに比べると麦の濃厚な香りがするのが特徴だ。今回はオールドジュネヴァとヤングジュネヴァの違いについて解説したい。

しばしば間違えられるが、ジュネヴァにおけるオールドとヤングの違いは熟成年数の違いではない。確かに、熟成されたオールドジュネヴァが多いのは事実である。しかし、その違いは正しくは蒸溜法、造られ方のスタイルの違いである。ジュネヴァにはモルトワインという麦を蒸溜したスピリッツが使用されるが、オールドジュネヴァには最低15%のモルトワインが含まれていることが必要である。

そのためオールドジュネヴァは甘く、ふくよかで、しっかりとした風味となる。しかし、時代が移るにつれ、軽やかなスピリッツが好まれるようになり、連続式蒸溜機を含む蒸溜技術の向上がヤングジュネヴァを生み出した。ヤングジュネヴァにはトウモロコシなどの原料も多く用いられ、連続式蒸溜器でアルコールを得るため、より安価にジュネヴァを造ることができる。ヤングジュネヴァはモルトワインの比率が低いため、無色透明でくせが少ないジュネヴァとなる。麦の濃厚な香りがする「伝統的」なジュネヴァといえばオールドジュネヴァだが、ヤングジュネヴァをジンベースのカクテルとして使うのも新たな発見がある。タイプは違うがどちらもいいお酒なのだ。

ジュネヴァは聞き慣れないお酒であり、選ぶのに悩むことも多いかもしれない。この二つのスタイルのジュネヴァがあることを知っておくと、バーで飲む際にも味の予測の一助になるかもしれない。

この記事を書いた人

ろっき
ろっき
1991年東京都生まれ。ジン研究家、医師。千葉大学医学部卒業。大学在学中からジンに傾倒し、サークル「アセトアルデヒド症候群」を主宰。ジンを総説する書籍がない当時、2013年から同人誌「もっとジンをおいしく飲む本」シリーズを自費出版。日本初の「ジン本」として各地のバーテンダーなどプロからも高い評価を受けた。医師として勤務する傍ら、非定期的なジンテイスティングイベント開催やイベントへの出演などジンの普及に努めている。著書「All about Gin ジンのすべて」(旭屋出版)。
ろっき
ろっき
1991年東京都生まれ。ジン研究家、医師。千葉大学医学部卒業。大学在学中からジンに傾倒し、サークル「アセトアルデヒド症候群」を主宰。ジンを総説する書籍がない当時、2013年から同人誌「もっとジンをおいしく飲む本」シリーズを自費出版。日本初の「ジン本」として各地のバーテンダーなどプロからも高い評価を受けた。医師として勤務する傍ら、非定期的なジンテイスティングイベント開催やイベントへの出演などジンの普及に努めている。著書「All about Gin ジンのすべて」(旭屋出版)。