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Still graffiti in America

Tasting 101

コーン

定義はさておき現実的にはバーボンの原材料の70%程度がコーンということを考えれば、その風味がトウモロコシらしいのは当然のこと。

“Corns” (https://flic.kr/p/7iv2A4) by Alexander Savin CC BY 2.0

「トウモロコシの薫り!」と言われて真っ先に思い出すのは香ばしい焼きトウモロコシかもしれないが、残念ながらバーボンで表現されるコーンとはちょっと違う。想像しやすいものとしてはコーンフレークやとんがりコーンのようなコーン菓子などだが、それ以外にもコーンブレッドやグリッツなどあまり日本人には馴染みのない食べ物を指すことも多い。コーンブレッドに近いのはアメリカンドッグの衣。米国ではその名もコーンドッグと呼ばれている。

面白いのはポップコーンの薫り。熟成酒としてのバーボンにその薫りを見つけることはあまりないが、蒸溜器からほとばしるスピリッツを手に取って合掌するようにして嗅いでみると、アルコールが乾くほどに香ばしいポップコーンの薫りが広がってくる。

High Gravity

Randall

2000年代の初め、ホップが効いた西海岸のビールに対抗して東部デラウェア州のドッグフィッシュ・ヘッド・ブルワリーで生み出されたのがRandall(ランドル)だ。

樽からのビールが管を通ってタップから出るその間にホップを詰めた容器を噛ませた、いわばホップのフィルター。もちろんホップの代わりにフルーツやコーヒーなどを充填してもいい。ここまでフレッシュな素材感を味わえる方法は他にはない!と言えるほど新鮮な薫りを楽しめる。

ドッグフィッシュから専用のランドルも売り出されているが、せっかくだからここでもMason Jarを使用したい。専用の管付きキャップが必要になるが、広口のMason Jarだけに素材の充填や容器の洗浄・メンテナンスは本当に簡単だ。クリアなMason Jarなら素材の色合いと合わせそれだけでオシャレなランドルに早変わり。

“Corns” (https://flic.kr/p/7iv2A4) by Alexander Savin CC BY 2.0

時代の証人

Jacob L. Beam -the father of all modern bourbons-

世界最大のバーボン・ブランドJim Beamを興したのは彼本人ではなく、曽祖父Jacob L. Beamだったが、Jacobの影響は同ブランドのみならずあまねくケンタッキー・バーボンに及んでいる。

ドイツ移民であるJacobの父は元々Böhm(ベーム)という名だったが、ペンシルバニアに入植した際に英語風表記であるBeamに変えている。1766年、まだJacobが6歳だった時に父が夭折。母親の親族が営む小さな農園に移り住み、そこで当時一般的だった余剰穀物を使った蒸溜酒造りを覚えたらしい。成人後、ケンタッキーに移住。アパラチア山脈の奥に広がるケンタッキーは小作農にとっては大きな可能性を秘めてはいたものの、まだまだ未踏の地であり地権の確保に苦労したようだ。それでも1795年には念願の蒸溜所を建設し、”Jim Beam”の礎を築いている。

Jim Beam 蒸溜所に掲げられたBeam 一族の家系図。赤字以外はいわゆる「傍系」だが、現在のバーボンは何らかの形で彼らの恩恵を受けていると言っていい

特筆すべきはJacobの子孫がケンタッキーに現存するほぼ全ての大手バーボン蒸溜所、そして今は無き多くの蒸溜所に何らかの形で関係している点だ。例えばHeaven Hillは設立当時から数年前までBeam一族が脈々と蒸溜責任者を受け継いでいたし、Barton、Maker’s Mark両蒸溜所もBeam家が蒸溜を担っていた。

現在ではブランドだけが残るEarly Times、Old Crow、Old Grand-Dadなどの蒸溜所、場所が移る以前のFour Roses蒸溜所、ペンシルバニア州にあったMichter’s蒸溜所もBeamが関係していた。消滅した蒸溜所を含めればおよそケンタッキーの名だたるバーボンは全て何らかの形でBeam一族にたどり着く。その意味でJacobは「全てのバーボンの父」と言っていいだろう。

この記事を書いた人

ジミー山内
ジミー山内
ウイスキーアドバイザー。米カリフォルニア在住。アメリカン・ウィスキー及びクラフト・ビール関連業界に深く携わる一方、日本で気鋭のクラフト・ブルワリーであるTokyo Aleworksを創設。スコットランド在住時はScotch Malt Whisky Society本部で樽選定員として数多くのモルト・ウィスキーを世に送り出している。
ジミー山内
ジミー山内
ウイスキーアドバイザー。米カリフォルニア在住。アメリカン・ウィスキー及びクラフト・ビール関連業界に深く携わる一方、日本で気鋭のクラフト・ブルワリーであるTokyo Aleworksを創設。スコットランド在住時はScotch Malt Whisky Society本部で樽選定員として数多くのモルト・ウィスキーを世に送り出している。