ジンの定義
ジンはジュニパーの香りづけが唯一の条件であるとしばしば紹介される。しかし、実は定義があるのをご存知だろうか。
ジンは2008年2月にEU法の一部(※1)に定義された。ここではGinを3種類に分類している。「Gin」、「Distilled Gin」、「London Gin」の3種類だ。Liqul Vol.7の特集も参照していただきたい。大雑把にいうと「Gin」は農業由来のアルコールを用い、ジュニパーがメインに香ることなどが定義され、「Distilled Gin」ではドライジンの命である「再蒸留」をジュニパーと共にすることが条件に加わる。
そして、ここで覚えて頂きたいのは「London Gin」だ。「London Gin」は「地名のロンドンで作られた」ジンを指すものではない。これは実は「質について」の定義である。「London Gin」はメタノールの含有率や、蒸留後の香りの添加の禁止など厳しい基準を満たした「質の良い」ジンが名乗ることができる。実際「London Gin」を名乗るゴードンやタンカレーもロンドンに蒸留所は持たない。
ちなみに同じく地名なのでややこしいが「Plymouth Gin」はEU法で蒸留する「地域」が定義されている。プリマスはイギリス軍港としてジンが世界に広がる上で大きな役割を果たした港町であり、現在でも「Plymouth Gin」は旧プリマスの城壁内で蒸留することが義務づけられている。 極端な話、基準を満たせば日本のクラフトジンもEU圏内で「London Gin」を名乗ることができる。巷でビクトリア王朝時代のジンをイメージしたスッキリ辛口のジンを「ロンドンドライ系」と呼ぶ人もいる。ただこれは定義からすると厳密には間違いなのかもしれない。
≪ 参考文献≫
(※1).REGULATION (EC) No 110/2008 OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 15 January 2008 on the definition, description, presentation, labelling and the protection of geographical indications of spirit drinks and repealing Council Regulation (EEC) No 1576/89. Official Journal of the Europian Union, 13.2.2008, L 39/37-39, 51.