「カリラ&キルホーマン」
今回はアイラ島からピーティーな2銘柄を紹介していきます。
アイラモルトと言えば、一部銘柄を除けば磯の香り、ヨードなどの薬品香、潮気といった特徴的な個性を含むピーティーな味わいで知られています。これらピートフレーバーは熟成期間によって感じ方が変化していく傾向があり、今回テイスティングした2本からはその違いを感じることもできます。
まず1本目、カリラ12年は安定感抜群のベテラン選手。ピートがずば抜けて強いわけでも、樽感がフルーティーなわけでもない“いぶし銀”なモルトですが、改めて飲むとそのバランスの良さに驚かされます。
クリアで丁寧に灰汁をとった塩味のスープ、あるいは出汁を思わせる柔らかいコクに、余韻にかけてスモーキーで微かに柑橘を思わせる要素。リフィル系の樽で熟成させた原酒を組み合わせる酒質ベースの作りが、蒸留所の個性を際立たせているのもポイントです。
続いて紹介するキルホーマンは、2005年に創業したばかりのルーキーな蒸留所。スタンダード銘柄であるマキヤーベイは3~5年熟成と若い原酒構成で、口当たりに多少の粗さはあるものの未熟な感じは少なく、今この瞬間燻したようなピーティーさを味わえるのが魅力。熟成に使われたバーボン樽由来のフレーバーが隠し味になって、現行アイラモルトの中でも若いなりの味の良さを楽しめる銘柄だと感じています。
シャープでフレッシュなピーティーさが、熟成して角が取れたカリラのそれとは異なるキャラクターでもありますね。
両銘柄とも、愛好家の間で「味が良くなった」と話題になっているなど評価されており、最近飲んでいないという方はこの機会にぜひ。なお、これからの寒い時期はお湯割りもオススメ。ピートがふわりと香って体の奥から温まる味わいは、なかなか癖になりますよ。
(Vol.4へ続く)