記念日やクリスマスなど、何か良いことがあった日には少し奮発してシャンパーニュを楽しんでみませんか?
きっと、あなたを非日常の至福の時間へと誘うことでしょう!
「シャンパン」ではなく「シャンパーニュ」と呼ぶ
シャンパーニュは、フランスが世界に誇る美酒。その伝統や素晴らしい味わいに敬意を表して「シャンパン」ではなく、あえて「シャンパーニュ」と呼びましょう!!
「シャンパーニュ」はフランス北東部、パリから東へ約150kmに位置しているシャンパーニュ地方でつくられる発泡性ワインをいいます。
この地域はフランスのブドウ栽培地としては北限にあたり、以前はあまり上質なワインを造ることができませんでした。ところが、17世紀後半に普及しはじめたガラス瓶にワインが詰められるようになると、瓶内で再発酵して生じた炭酸ガスが液中に溶け込み、発泡性ワインができるように。これを盲目の修道士ドン・ペリニヨンが改善し、品質などを安定化させて現在のような世界に名だたるワインへと導いたといわれています。
シャンパーニュのブドウ品種
シャンパーニュ地方は、白亜土の石灰質土壌が特徴です。この土壌は熱を吸収しやすく、水はけが良好、ミネラルも豊富なため、ワインに素晴らしい個性を与えています。シャンパーニュに用いられるブドウ品種は、主として次の3つです。
黒ブドウ品種
ピノ・ノワール(Pinot Noir:PN)
香り高く豊潤で、力強いボディ感・コクをワインにもたらします。
ピノ・ムニエ(Pinot Meunier:PM)
熟成が早く、ワインに爽やかさ、まろやかさをもたらします。
白ブドウ品種
シャルドネ(Chardonnay:Ch)
エレガントで繊細な香りと、キレのよい洗練された余韻をワインにもたらします。
シャンパーニュの製造とブレンド
シャンパーニュは一般的なワインと違って、多くが異なる畑や品種・収穫年のワインをブレンドして造られています。
これはシャンパーニュ地方がワイン産地の北限にあるためで、年ごとのバラツキが大きいことによります。ブドウは農作物なので、たとえ同じ畑から穫れたものであってもその年の気候条件などによって風味が変わってきます。
商品が一定の味わいになるよう造られているのがシャンパーニュの大きな特徴で、例えばブレンデッドウイスキーもそのように均一化されています。良いブドウが収穫できた年にはヴィンテージを入れたシャンパーニュも造られますが、造り手(メゾン)の個性を表すのはなんといってもノン・ヴィンテージのスタンダード品であるといえます。
シャンパーニュQ&A
Q1. スパークリングワインと何が違うの?
スパークリングワインは、発泡性ワインの総称。
シャンパーニュもそのひとつですが、フランス・シャンパーニュ地方で造られ、厳しい条件を満たしたもののみ名乗ることができます。ポイントは、瓶内二次発酵を行うこと。これを、メトード・トラディショナル方式やシャンパーニュ方式と呼んでいます。スペインのカヴァや、イタリアのスプマンテ(一部)も同じ方式で造られています。
それ以外の方式としては、タンク内で二次発酵を行い、その後瓶詰めするシャルマ方式などがあります。大量に造ることができて、よりフレッシュでフルーティな味わいになります。
Q2. シャンパーニュは食前酒?
もちろん食前酒の代表として知られてはいますが、料理との相性が良いのでコース料理のすべて(アミューズからデザートまで)をシャンパーニュで通してもいいですね。最初にシャンパーニュをボトルで頼んで、メインの肉料理には赤のグラスワインを……という頼み方も。
Q3. 開栓したらどれくらいで飲むとよいの?
多くのワインはその日のうちに……といいますが、シャンパーニュは炭酸ガスがありますのでシャンパンストッパーでしっかりと栓をしておけば2~3日はそのままの味わい・泡立ちを楽しめます。多少気が抜けてしまったときは、フルーツやコンポートにかけると良いでしょう。
映画『プリティ・ウーマン』で、ジュリア・ロバーツが苺をつまみながらシャンパンを飲むシーンは有名ですね。また、オレンジジュースと合わせたミモザや桃のネクターと合わせたベリーニなど、フルーツとの相性は抜群です。
Q4. シャンパーニュの種類にはどんなものがあるの?
シャンパーニュの分類はいろいろとありますが、ここでは3つ挙げます。
ひとつは、その色。
通常は黄色のワインですが、赤みの強いロゼ(Rosé)もあります。ロゼは、その色を綺麗に出すのに手間がかかるため、通常のシャンパーニュより高価になっています。その艶やかなサーモンピンクの輝きは、より華やかな気分にさせてくれます。
ふたつめは、ブドウの種類。
通常は白ブドウと黒ブドウの両方を使いますが、片方だけを使ったシャンパーニュもあります。白ブドウのみのシャンパーニュをブラン・ド・ブラン(blanc de blancs)、黒ブドウのみをブラン・ド・ノワール(blanc de Noirs)と呼んでいます。
最後は、甘さ。
シャンパーニュは瓶内二次発酵終了後、門出のリキュールと呼ばれる甘いワインを添加して、その量によって甘さを決めます。6段階あって、辛口からExtra Brut、Brut、Extra Sec、Sec、Demi Sec、Doux。一般的にはBrutが飲まれていて、より辛口が好まれます。
シャンパーニュのラベル(エチケット)には、これらの情報が書かれています。
シャンパーニュグラスの種類
シャンパーニュのグラスは、大きく分けてふたつあります。
ひとつは、フルートグラス。背が高く口が狭い円筒形のグラスで、ワインバーなどで一般的に使われています。立ち昇る泡が、とても綺麗ですね。
もうひとつは、クープグラス。シャンパンタワーなどに用いられるグラスで、口が広く平べったい形をしています。安定感があり飲みやすいのですが、香りがとりにくい一面もあります。ちなみにこの形は、マリー・アントワネットやポンパドール夫人の胸をモデルにしたともいわれています。
最近は、シャンパーニュに白ワインのグラスを勧めることが多いですね。泡立ちや香りも楽しめる上、程よく空気と触れることで、より香りも開いてくるからです。
シャンパーニュと映画
様々な映画の中で、シャンパーニュはその泡のごとくキラ星のような存在感を示しています。中でも印象深いのが『カサブランカ』。ハンフリー・ボガートと、イングリッド・バーグマンがバーの片隅で「君の瞳に乾杯」……有名なシーンですね。『麗しのサブリナ』では、オードリー・ヘプバーンのシンデレラストーリーをシャンパーニュでうまく表現していました。
また、『007』のジェームズ・ボンドもシャンパーニュを愛していましたね。古くはドン・ペリニヨンを、最近はボランジェR.D.を好んでいるようです。
シャンパーニュのコルク:ミュズレ
シャンパーニュのコルク栓には、金属製の円盤がついています。これをミュズレといって、ブランドや種類ごとに異なるデザインがされています。
コレクターが多く、専用のケース「ミュズレ・ボード」も売られており、インテリアとしてもおしゃれです。
シャンパーニュとハイヒール
フランスでは、好きな女性のハイヒールにシャンパーニュを注いで飲むと、その女性が幸せになるという話があります。
ただ、実際に行うのは大変ですよね。履き慣れたハイヒールに……なんてちょっと抵抗があるので、もしトライするなら試着して新品を購入するという方法になりそうです。場所も、自宅よりレストランのほうが良ければ、もちろん個室で。
さて、女性は喜んでくれるでしょうか⁉
う~ん、あなたはどう思いますか?