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自社アトリエ内でのカカオの発酵実験記録 ②

撹拌不足のため片側のみ褐色化している

前回、台湾から持ち帰ったものを使用して発酵実験を行ったカカオ豆。柑橘と一緒に発酵させることで、チョコレートにとってポジティブな香気成分と言われているリナロールの多いものになるのかを試したのですが、そもそも少量のために発酵による昇温がうまくいかなかったことと、私の出張が重なり乾燥工程で撹拌ができなかったことが原因で、外見としては褐色の部分と白の部分がまだらな、お粗末なカカオ豆になってしまいました。

豆そのものの香りとしては、本来アルコール発酵後の酢酸発酵により生まれる独特な酸はほぼ感じられませんでしたが、発酵の終盤で起きたメイラード反応由来の甘くて芳醇な香りなどは意外にもしっかりと発生していました。

焙煎前の生豆を実際に試食してみます。発酵工程で酸が上手く発生していればカカオ豆中の渋みのもと、カカオポリフェノールに干渉して味がマイルドになっているはずでしたが、残念ながら渋みや苦みは残っていました。苦みの種類はベルモットやビターズのそれに似ていて、顔をしかめるほどでは無いにせよ、じんわりと長く後を引きます。

柑橘と一緒に発酵させたことが要因だったと断定はできませんが、後味には確かに柑橘系、また浅煎りのコーヒーのような風味が感じられます。ポジティブ要素である華やかでトーンの高い香りがしっかり残っているので、チョコレートに加工すると美味しく面白い味わいができるのではと期待できます。ただ、リナロールが多く含まれているかどうかまでは専門的な機械で測定してみないとわかりません。 弊社では、そう遠く無いうちにチョコレートの香気成分の分析などに力を入れていく予定ですので、そこで得た情報をお酒とチョコレートのマリアージュに活かしていければと思っています。

この記事を書いた人

須藤 銀雅
須藤 銀雅https://atelier-airgead.amebaownd.com/
洋菓子専門学校を卒業後、国内の洋菓子店、フレンチレストラン、ショコラトリー等で修行。2016年に「アトリエAirgead」を開業。食材や飲料の香気成分を研究し、アルコールとのマリアージュに特化した“BAR 専用チョコレート”という独自のジャンルを一般販売せずに国内のオーセンティックバーにのみ販売している。2018 年から自家焙煎カカオを使用した一般販売用ブランド「ロマンスチョコレート」も手がける。
須藤 銀雅
須藤 銀雅https://atelier-airgead.amebaownd.com/
洋菓子専門学校を卒業後、国内の洋菓子店、フレンチレストラン、ショコラトリー等で修行。2016年に「アトリエAirgead」を開業。食材や飲料の香気成分を研究し、アルコールとのマリアージュに特化した“BAR 専用チョコレート”という独自のジャンルを一般販売せずに国内のオーセンティックバーにのみ販売している。2018 年から自家焙煎カカオを使用した一般販売用ブランド「ロマンスチョコレート」も手がける。