「グレングラント&クライゲラヒ」
今回はスペイサイド地域から、異なる特徴の2銘柄を紹介します。
シングルモルトには蒸留所の個性以外に、国や地域の個性とも言えるキャラクターがあります。それは時代によって異なる部分もありますが、近年のスペイサイドモルトは軽やかで華やかな仕上がりが多く、一方で、数は少ないですが素朴な麦芽系統のフレーバーが強く感じられるものもあります。
その代表的なキャラクターを感じられる銘柄で、お薦めなのがグレングラントです。
2016年頃にリニューアルされ、デザイン同様中身も洗練された味わいに生まれ変わりました。旧ボトルに比べドライで線が細い部分は感じられるものの、バーボン樽由来の黄色いフルーティーさと華やかさ、微かにナッツや乾草を思わせるウッディネス。近年のトレンドとも言える香味構成で、中でも12年は樽由来の風味と酒質のバランスが取れており、10年は多少若さがあるものの同様の香味構成からコスパは良好。ハイボールでも気軽に楽しめる1本です。
続いて、前置きで触れた中で後者の位置づけとなるのがクライゲラヒ。
現行品は特徴的なスパイシーさと微かなスモーキーさ、それ以上にバニラや洋梨、麦芽の甘みのしっかり感じられる厚みのある味わい。樽使いでバーボンだけでなくシェリーを含むリフィルアメリカンオーク樽由来か、13年は穏やかな樽香が、上位グレードでは蜜のようなフルーティーさを纏うのも魅力です。 この特徴は蒸留工程(設備)による個性とされていますが、厚みのある麦芽風味はかつてスペイサイド地域の蒸留所の多くでハウススタイルに見られた特徴でもあり、飲み比べることで自分がどの系統のリリースが好みか見えてくるのも面白いと思います。
(Vol.3に続く)