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ジンカクテルの由来① ジントニック

2年前ロンドンCity of London Distillery でのジントニック

ジンは昔、薬用酒であったために、そのカクテルの由来にも面白いものが多い。今回は最もメジャーなカクテル「ジントニック」について振り返ってみよう。諸説あるが、その一つをご紹介したい。

18世紀のイギリス海軍は世界的に勢力を広げ、熱帯地域にも進出していたが、熱帯地域では様々な熱病に感染することが問題となった。そのため熱病への効果を期待し、ジュニパベリーが原料のジンが必ず積み込まれた。実際ジュニパーベリーにはモノテルペン類が含まれ、多少の利尿作用は期待できる。

City of London Distillery のバーカウンター

また、最も熱帯地域で問題になる感染症が「マラリア」だ。ハマダラカに吸血される際にPlasmodium属の原虫が体内に侵入することで起きる感染症で、現在でも200万人以上の死者を出す重要な感染症である。当時マラリアの特効薬としてキナという植物から抽出された「キニーネ」が知られていた。現在日本でのマラリア治療にはクロロキンやメフロキンといった薬剤が使用されるが、これらもキニーネから合成されたアルカロイドである。海軍から支給されたキニーネ単体は苦味が強く、甘いソーダを加えたのがトニックウォーターの始まりだ。

そして食物供給が十分でない海軍では、ビタミンC欠乏が原因の壊血病が恐れられた。ビタミンCはコラーゲン産生に不可欠な物質であり、不足すると血管が脆弱となり出血をきたすことで死に至る。イギリス海軍船医であったジェームス・リンドは柑橘類が壊血病に効果的であることを見出し、以後船員にはライムが支給された。そして、船員達はジン、トニックウォーター、ライムを混ぜて飲んで楽しんでいた。そう、これがジントニックの始まりである。必要に迫られて作られたカクテルが今もなお人々を楽しませているのは感慨深い。そんな歴史を想いながら楽しむジントニックも楽しいものだ。

この記事を書いた人

ろっき
ろっき
1991年東京都生まれ。ジン研究家、医師。千葉大学医学部卒業。大学在学中からジンに傾倒し、サークル「アセトアルデヒド症候群」を主宰。ジンを総説する書籍がない当時、2013年から同人誌「もっとジンをおいしく飲む本」シリーズを自費出版。日本初の「ジン本」として各地のバーテンダーなどプロからも高い評価を受けた。医師として勤務する傍ら、非定期的なジンテイスティングイベント開催やイベントへの出演などジンの普及に努めている。著書「All about Gin ジンのすべて」(旭屋出版)。
ろっき
ろっき
1991年東京都生まれ。ジン研究家、医師。千葉大学医学部卒業。大学在学中からジンに傾倒し、サークル「アセトアルデヒド症候群」を主宰。ジンを総説する書籍がない当時、2013年から同人誌「もっとジンをおいしく飲む本」シリーズを自費出版。日本初の「ジン本」として各地のバーテンダーなどプロからも高い評価を受けた。医師として勤務する傍ら、非定期的なジンテイスティングイベント開催やイベントへの出演などジンの普及に努めている。著書「All about Gin ジンのすべて」(旭屋出版)。