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Tasting Vocabulary 101:「Stone Fruits」曖昧な薫りを具体的な表現に結びつける

「Stone Fruits」

ウィスキーやビールに限らず、ある種のフルーティーなフレーバーや薫りをざっくりと表現するときに良く出てくるのがこの表現。Stone Fruitsを日本語に訳せば「核果」。でも和英辞典で「核果」を調べても、おそらく出てくるのは”Drupe”という単語だろう。

Drupeはどちらかというと学名で、英語でも日頃からこれを使うことはない。むしろ「石果」と直訳してしまった方が想像もつきやすいかもしれない。そう、中心に巨大な「核」(よく種に間違えられる)を含む果物だ。

Stone Fruitsの代表的なものは?

代表的なものといえば、桃にアンズ、プルーンやプラム、そして梅やサクランボなど。我々にとっても個々のフルーツはなじみ深いかもしれないが、フルーツをこう言う呼び方で分類するのは日本ではあまりないだろうと思う。でも言われてみれば確かにこれらの果物には共通点がある。

Stoneというだけあって硬い核があるのは当然としても、それ以外にも熟れていなければ固くてやたらに酸っぱいけど、熟れると甘酸っぱくてジューシーという点や、ペクチンをはじめとして食物繊維が多いことから独特の食感があることなどが共通している。

実はこれらの果実は植物学的に見ても近縁種同士。全てバラ科サクラ属(もしくはスモモ属)に属する果物だ。

マンゴーやデーツ、アサイはStone Fruitsと呼ばない?

核果(Drupe)にはそれ以外にもマンゴーやデーツ、アサイなどがあるけれど、英語圏でもこれらをStone Fruitsと呼ぶことはあまりない。なので、Stone Fruitsという表現は果物の中心に大きな核の有無というよりも、むしろ桃やサクランボ、プラムなどがもつ独特な味わいや薫りに共通性を見つけて、それらがたまたま大きな核を持っていることからこう呼ばれるようになった……というのが筋かもしれない。

もちろん結果的に、生物学的には近縁だったわけだけど。というわけで「『そのまんま桃!』というほどではないけど、ピーチっぽくもありアプリコットっぽくもあり……」なんていうときには、まさにStone Fruitsという表現がぴったりだ。

Red FruitsとYellow FruitsとStone Fruits

ちなみに、以前このコラムで紹介したRed FruitsとYellow Fruitsという区分。Stone Fruitsは明らかに赤系が多いのでRed Fruitsになる。もちろんRed Fruitsといえばリンゴやイチゴ、ザクロなども含まれるのでStone Fruitsと同義ではない。そういう意味ではRed Fruitsという表現の方がより守備範囲が広い表現ということになる。

「Red Fruits → Stone Fruits → (例えば) ピーチ」と言った感じでより具体的になるわけなので、これをうまく使えば、自分の中で、

「Red Fruits? Yellow Fruits?」

「うーん、Redかな」

「りんご? ざくろ? プラム?」

「うーん、Stone Fruitsっていう感じかな」

「Stone Fruitsの中であえて言えば何?」

「そうだなぁ、あえていえばスモモ、そう駄菓子のスモモっぽいかも!」

と、いったように曖昧な薫りをより具体的な表現に結びつける手がかりになる。テイスティングにおいてこういう訓練はとっても大事だけれど、それを可能にするStone Fruitsのような中間的な表現を知っておくことも非常に重要だ。

この記事を書いた人

ジミー山内
ジミー山内
ウイスキーアドバイザー。米カリフォルニア在住。アメリカン・ウィスキー及びクラフト・ビール関連業界に深く携わる一方、日本で気鋭のクラフト・ブルワリーであるTokyo Aleworksを創設。スコットランド在住時はScotch Malt Whisky Society本部で樽選定員として数多くのモルト・ウィスキーを世に送り出している。
ジミー山内
ジミー山内
ウイスキーアドバイザー。米カリフォルニア在住。アメリカン・ウィスキー及びクラフト・ビール関連業界に深く携わる一方、日本で気鋭のクラフト・ブルワリーであるTokyo Aleworksを創設。スコットランド在住時はScotch Malt Whisky Society本部で樽選定員として数多くのモルト・ウィスキーを世に送り出している。