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大人になったマチルダは、どんな杯を傾けるのだろう

マチルダという名は、きっと現代映画史上に残る、最もアイコニックな少女の名のひとつでしょう。

わざわざ言うまでもないけど、今や知らない人のいない大女優、ナタリー・ポートマンが鮮烈すぎるデビュー作<LEON>で演じた少女の名。

「一仕事」終えたヒットマンが牛乳を手にアパートに戻ると、廊下で階段に足を投げ出しタバコを咥えた少女に出会う。ピュアで翳りを含んだ、この上なくアンニュイでかつ突き刺すように真っ直ぐな少女の眼差し。彼女の銀幕デビューのシーンは、私を含む多くの観客を虜にし、20年経ったいまも離さない(といいつつ、当時小学生の私は映画館ではこの映画を見られていないのだけど)。

泣いていた彼女を励ました「ブタさん」の鍋つかみを探して買ってしまったのも、私だけではないハズ。少なくともうちの姉は持っている。因みにAmazonで買えるので、「鍋つかみ 豚」で検索だ。

2020年の今見ても、本当に色あせることのない名作であり、マチルダは永遠の美少女となった。
94年公開の本作において、マチルダは12歳。物語がスクリーンの外で続いていたとしたら、彼女は38歳ということになる。

決して続編など製作して欲しくはないが(いや、でも万が一公開されれば初日に見にいくことに違いない)、ここまで長年心の片隅に染みを落とす作品は、「今日、彼女がいればきっとこんな……」という想像を掻き立てる。

38歳になった彼女の右手には何が握られているだろう。銃でない、きっと。女優の聡明さとどうしても相まって、知的な仕事に就いている姿が思い浮かぶ(ナタリーは<LEON>公開当時のインタビューにてすでにアイビーリーグ進学の意思を示し、その後見事、現役でハーバードに入学している)。

私が思い描くマチルダ(38)は、独身で、NYで活躍する弁護士。そして絶対・アンド絶対、趣味はお酒だと思うのだ。エヴァのミサトさんがそのまま歳くったようなものかもしれない。いやちょっと違うか。

マチルダが好むお酒? 絶対ハードリカーだと思いませんか。しかも、ほぼ間違いなく、ウイスキー。もしかしてちょっとやさぐれすぎていたら、ウォッカとかニートで流し込んでいる可能性もなくはないけど……。香り高いウイスキーを、ミルクを飲むような雑なグラスで、きっとロックで飲んでいると思うのです。
だって、ウイスキーは孤独の酒、だから。

自分の棚に目を走らせて、マチルダが窓辺で膝を抱えて舐めていそうなボトルを探す。

これだな、と思い手に取ったのは、G&Mのカリラ。HOOP向けにリリースされたものを、特別に会員の方から譲り受けたボトル。2005年蒸留、2016年ボトリング。

実は、私にとって初めて自腹で購入したボトラーズシングルモルト。「初めて」という特別な感情に、マチルダの想いをほんのり重ねる(このニュアンスがわからない方は、<LEON 完全版>をご覧ください。劇場版とは全然ふたりの関係性が違います)。

レオンとの思い出に煙は欠かせないでしょう。それも、モクモクと雄弁な煙ではない。サイレンサーを着けた銃口から立ち上がる細い煙が、NYのアパートの狭い部屋に薄く広がっていく。このカリラにその「細く、広がっていく煙」はぴったり。少しリッチに続く甘い余韻のスモークは、まさに戦場の記憶(知らんけど)。少し強くアタックしてくるBBQ感は、最期の「マチルダからのギフト」の臭いかもしれない。

しかし、味わいはあくまでもフルーティ。レオンの長い人生に於いては、走馬灯よりも短いかもしれない奇妙な共同生活の甘い記憶を思わせる。

そして後味に一抹残る青草の臭いが、ふたりが育てたアグラオネマを彷彿させる、ような……。

ここまでが、私の中のマチルダ(38)のグラスの中身。
あなたのマチルダは、今宵、何を飲んでいますか? そんな想像を巡らせながら舐める一杯も、きっとたまには乙。お気に入りの映画を思い起こしながら、彼女や彼が飲みそうなお酒をグラスに注いでみませんか。

なお、私のグラスに注がれたHOOPのカリラ・オンザロックは、ここまで書き進めるうち、もちろん、とうに空になってしまいました。

この記事を書いた人

大屋 佳世子
大屋 佳世子
マーケティング×広報で英語教育を盛り上げたいOL。趣味は洋裁、イラスト、歌など。東北支援を通じて出会った古森剛氏の影響を受け、ウイスキーにハマる(万年初心者)。酒育の会では参加者として勉強中。
大屋 佳世子
大屋 佳世子
マーケティング×広報で英語教育を盛り上げたいOL。趣味は洋裁、イラスト、歌など。東北支援を通じて出会った古森剛氏の影響を受け、ウイスキーにハマる(万年初心者)。酒育の会では参加者として勉強中。