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ビールは瓶、缶、樽、どれもごく普通に流通しています。

大手メーカーでは、同じビールをこれらすべてのパッケージで提供していることもめずらしくありません。

同じ製品を全く異なるパッケージで出荷するのは、他の醸造酒には見られないビール独特の特徴です。

液体の容器であるCask(カスク)、Barrel(バレル)、Keg(ケグ)という英語は日本語に訳すと全部「樽」になるので区別がつきませんが、普通、ビールを入れて販売されている樽はケグです。まれにカスクの場合もありますが、それは別の回でお話しましょう。

ケグは20世紀になって普及した、外部から圧力(ほとんどの場合炭酸ガス)をかけて、ビールを押し出す容器で、現在、ほとんどのケグはガスの入り口とビールの出口が一体になっているSankey Keg(サンキー ケグ)と呼ばれるタイプのものです。

かつてはケグといえばステンレスでしたが、今やプラスチックのものも多く、基本的には使い捨てです。空っぽのケグを遠くまで送り返すのは不安ですが、輸入ビールはプラスチックケグが多いです。

ケグからビールを取り出すには、カプラーという器具をケグの出入り口に取り付けます。ケグの出入り口の形状には主なものでもD・S・A・G・U・Mと6種類もあって、まったく互換性はないのでカプラーもそれぞれのものを用意しなくてはなりません。

国産ビールはキリンが使っているGとそれ以外が使っているSですが、ヨーロッパからの輸入ビールはAが多く、アメリカからの輸入ビールはDがほとんどです。

つまり、たくさんクラフトビールを出す店では、いろんな種類のカプラーを用意しなくてはならないので大変なのです。

この記事を書いた人

藤浦 一理
藤浦 一理http://snarkliquidworks.com/
合同会社スナーク リキッドワークス代表。クラフトビール醸造所開設に向けて準備中。ビール関連の執筆やビールコンペティションの審査員を勤める。2004年、ビール飲み手の非営利全国団体「グッドビアクラブ」の会を発足。会長を約7年勤める。Watering Hole にて、ビールに関する講習会「Saturday Evening Beer Live」を開催中。ビールの専門分野はアメリカで、ビールを飲むだけが目的で行った州が38州+DCで39。
藤浦 一理
藤浦 一理http://snarkliquidworks.com/
合同会社スナーク リキッドワークス代表。クラフトビール醸造所開設に向けて準備中。ビール関連の執筆やビールコンペティションの審査員を勤める。2004年、ビール飲み手の非営利全国団体「グッドビアクラブ」の会を発足。会長を約7年勤める。Watering Hole にて、ビールに関する講習会「Saturday Evening Beer Live」を開催中。ビールの専門分野はアメリカで、ビールを飲むだけが目的で行った州が38州+DCで39。