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女性バーテンダーという生き方

日本のバー業界はいま、女性バーテンダーの時代だ。競技会の入賞者を見れば彼女たちの実力も分かるだろう。理由を考えた。全員に共通点がある。

洗い物とフルーツの刺激で手がガサガサに荒れている。深夜の立ち仕事で体の疲れと空腹はいつも限界だ。

男性バーテンダーも同じと言うが「女の作ったカクテルなんか」と、誰もが一度は客に言われた屈辱の経験がある。恋愛を取るか仕事を取るか、結婚を選ぶか仕事を選ぶか、出産は。実は女性ならではの悩みもある。言われた事がある。「女性バーテンダーは何かを失う覚悟でカウンターに立ち続けている」と。甘えベタだ。張らなくていい意地をつい張る。言わなくていい強気もつい出る。涙を見せれば納まる場面で歯を食いしばる。だから男勝りに拍車がかかる。結果たいがいの男性バーテンダーより男前だ。

「独身?結婚しないの?恋人は?」「うるせぇ! 客だからってカウンターの上で甘ったれた事をつべこべ聞くな」とニッコリ笑いながら、本当は心の中で怒鳴っている。客の小さなひと言に傷つくのだ。それでもなぜカウンターに立ち続けるのか。 漫画のセリフの中でボクはこう書いた。「お客様の美味しかったのひとことのために」―。「キレイだね」と言われて喜ぶのが世間の女性。「キレイなカクテルだね。美味しかった」と言われて喜ぶのが女性バーテンダー。彼女たちはそういう生き方を選んだのだ。だから背筋を伸ばしカウンターに立つその姿が、誰よりも凜として美しいのだ。

文:城 アラキ

作家・漫画原作者。立教大学時代からライター活動を始め、雑誌記者、コピーライターを経て現在に至る。著書『ワインの涙』等。
漫画原作『ソムリエ』(画・甲斐谷忍/堀 賢一)等。
現在、グランドジャンプにて『ギャルソン』(画・ホリエリュウ)他、グランドジャンプPREMIUM『バーテンダーà Tokyo』(画・加治佐修) グランドジャンプWEB『カクテル』(画・花門初海)を好評連載中。

この記事を書いた人

リカル編集部
リカル編集部https://liqul.com/
リカル編集部です。「~より良い酒ライフを! バータイムをより楽しもう!!~」をコンセプトに、ウイスキーやビールはじめ様々なお酒の情報を発信して参ります。
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