最近の大きな流行にヘイジー(濁った)IPAがあります。このスタイルは濁っているからそう呼ばれるのですが、濁ったスタイルは他にもあります。ヒューガルデンのようなベルジャンホワイトや日本でも盛んに造られるヴァイツェンも濁っています。
濁っているということは、どういうことでしょう。
それは何らかの目に見えるほどの大きさの不透明な物質がビール内を浮遊しているということです。
ビールの濁りの原因は何か?
濁りの原因として浮遊しているものは一般的に2種類考えられます。
①タンパク質+ポリフェノール
ひとつ目はタンパク質とポリフェノールが結合したもの。
タンパク質と特定のポリフェノールが出会うとお互いに相手をとらえて、より大きな物質になり目に見えるようになります。タンパク質はモルトや副材料からやってきます。ヘイジーIPAやベルジャンホワイト、ヴァイツェンの共通点は小麦モルトやモルト化されていない小麦、大麦、オーツ麦などタンパク質を多く含む材料を使っていることです。
ポリフェノールはどこからくるかというと、最も大きなソースはモルトです。特にモルトの殻。ホップもポリフェノールの提供者になります。
②イースト
もう一つの浮遊物はイーストです。
イーストはお互いにくっつき合う性質があり、これをフラキュレーションと言います。フラキュレーションはイーストの種類によって異なります。フラキュレーションの高いイーストは大きな塊になり、沈殿しやすく簡単に濁りがなくなります。フラキュレーションの低いイーストはいつまでもビールの中を浮遊しています。
ビールの濁りを少なくする方法
濁りはそのうち沈殿します。温度が低ければ、そのスピードはアップします。
↓樽詰めした直後のビール↓
↓その後1℃くらいの冷蔵庫で一カ月間静置した後のビール ↓
その他にも効果的に濁りを少なくする方法はたくさんあります。
低タンパク質の材料を使う方法や、フラキュレーションの高いイーストを使う方法。また、タンパク質やポリフェノール、イーストを静電気的に吸着して沈殿させる物質(ファイニング材)を使って沈殿させる方法もあります。
最も一般的なものは煮沸工程で入れられる海草から作られるカラギナンで、マイナスにチャージした大きな分子でプラスにチャージしたタンパク質を吸着します。その他、ビールになった後に加える魚の浮き袋から作ったコラーゲン(プラスチャージでマイナスチャージのイーストを吸着する)が有名です。
非常に効果的なのは、大手ビールのほとんどが行なっているように、フィルターで濁りの原因となる大きな物質を除去することです。
現代は濁っている、濁っていないそれぞれ、マーケティング的意味がありますが、それはガラス製の透明なグラスで飲むことが一般的になったからです。それ以前のピューターや陶器のマグでビール飲んでいた時代は濁りなんて見えないのでどうでもよかったのです。