<サンタ・バーバラ ジャスミン茶の香りで>
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<洋風豚レバー炒め トマトとネギのごま油ソースと>
今回はフード・ペアリングをもっと気楽に感じて頂く為に、少し身近な料理とのペアリングをご紹介いたします。
フード・ペアリングについては、近年多くの研究者たちが香気成分や旨味成分、素材の構成成分などの科学的な相性の結果から理論を導いています。私もこの研究結果を参考にし、自分の味覚や食感などの五感とも合わせながら構築していく事もあります。専門分野の方々の研究結果を用いてペアリングを構成させていく事は、決してずるいことではないと思います。
今回はこのフード・ペアリング理論を使って、実際にどのように構成していくのかを実践してみようと思います。
カクテル <サンタ・バーバラ ジャスミン茶の香りで>
- クラウン・ロイヤル :30ml
- アップル・ジュース :40ml
- ジャスミン茶 :3g
- アプリコット・リキュール :5ml
- レモン・ジュース :5ml
~今回のペアリング・ポイント~
豚の肝臓とジャスミン茶には、共通した物質「インドール」が含まれていることが発見されており、これについてはすでにご存知の方も多いかと思います。実際に体験をすると、化学物質同士の組み合わせは、人間ではなかなか見つけることのできない驚きを与えてくれます。ただし、単体同士でのペアリングは確かに成立しても、味付けもしていない豚の肝臓が「どーん!」と盛り付けられては食欲が湧きません。やはり味付けをし、添え物や別の食材などもお皿の中に組み込まないと料理としては成り立ちませんから、そこに手を加えてさらに美味しく提供することも大事です。この時に注意することは、同じ成分があるとはいえ、味付けや他の添え物によって味わいの感じ方も変わってしまうということです。
飲み物からペアリングを考える場合には、この点も留意して料理を考えたほうがいいでしょう。しかし、すでに料理として完成されているものに合わせるペアリングの場合ならば、フード・ペアリング理論はとても使い勝手がいいツールです。あとはそこから同調させるのか? 補完させるのか? また、この料理を食べた時に欲しい飲み物は何なのか? というペアリングの方向性を決めて組み立てをしていく作業をすれば、お互いの味わいを活かすためのカクテルが出来上がるからです。
ちなみに、今回私が考えたペアリング・カクテルの意図は「同調」ですが、「補完」や「変化」も同じ成分が含まれるジャスミン茶をキーにして色々と考えることもできます。
まずは、食べたことのある身近な料理とのペアリングを作っていくと、さらに進化をさせたペアリングも見えてきますので、練習としてやってみてはいかがでしょうか?