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歴史はグラスに注がれる No8:ホローステムグラス

History in a glass No8

ホローステムグラス

主に19世紀末から20世紀初頭において作られた、ソーサー型シャンパングラスの中に、ステムが空洞になったグラスがある。

本来このグラスは、その昔、ワインやシャンパーニュの醸造所で、澱を沈めて飲めるようにと、醸造家が日常的に使っていた物だそうだ。そのためか、このグラスの正式な名称は不明で、「Hollw stem」や「Straw stem」と呼ばれることもある。その後、造形美と遊び心からか、世界各地で洗練されたフォルムに作り替えられ、世に出された。

バカラやサンルイの金彩を施されたもの、イギリスのグラヴィールを施されたもの、ベルギーのカットが施されたもの、更にはアメリカにも渡り、ホローステムは作られた。いずれも1900年頃のグラスで、古き良きヴィクトリア様式は可憐である。

もうひとつ、このグラスはカクテルグラスとして使用すると、とてもよく映える。

実際にグラスが作られていた当時は、イギリスでのカクテルブームにも重なるので、どこかのバーでカクテルグラスとして使われていたのかもしれない。

折角なので、「シャンパンカクテル」を作ってみる。このカクテルも歴史が古い。レシピは簡単で、角砂糖にビターズを浸したものにシャンパンを注ぐだけだ。今回はステムを強調するために、ビターズではなくグレナデンシロップを用いた。

映画『カサブランカ』で「君の瞳に…..」と言って乾杯するのもこのカクテル。フルート型のシャンパングラスより断然、ソーサー型で作りたいものだ。

この記事を書いた人

鈴木 裕介
鈴木 裕介https://blogs.yahoo.co.jp/bar_salvador2005
1975年宮城県生まれ。都内ワインバー、ウイスキーバー店長を経て2005年より東京・ 高田馬場「Bar salvador」オーナーバーテンダー。ウイスキーに興味を持ち、各地の蒸留所を巡るかたわら、骨董店にてヨーロッパアンティークグラスを集める。HOYAクリスタ ルの蒐集家でもある。
鈴木 裕介
鈴木 裕介https://blogs.yahoo.co.jp/bar_salvador2005
1975年宮城県生まれ。都内ワインバー、ウイスキーバー店長を経て2005年より東京・ 高田馬場「Bar salvador」オーナーバーテンダー。ウイスキーに興味を持ち、各地の蒸留所を巡るかたわら、骨董店にてヨーロッパアンティークグラスを集める。HOYAクリスタ ルの蒐集家でもある。