本場イタリア クラフトビール最前線
職人のビール
今やイタリアはワインの国だけでなく、街のあちこちにビッレリア(ビアバー)が立ち並び、いつの間にかイタリアンクラフトビールに熱狂する「ビッラ(ビール)」の大国になっている。
イタリアでは、クラフトビールのことをビッラ・アルティジャナーレ(Birra artigianale)「職人のビール」と呼び、靴、スーツ、家具と同じ様に職人をリスペクトする愛称で親しまれている。
AssoBirra(イタリアビール協会)の報告では、イタリア全土に約500以上のクラフトビールのブリュワリーが存在し、今まさにイタリア各地で魅力的で個性的なビールが、ローマ時代のルネッサンスを象徴するかのような食文化の発展を見せている。
そんなイタリアのビールと言えば、アペリティーヴォ(食前酒)にはピッツァ、パニーノなどの食事に、ナストロアズッロやペローニ、モレッティなどのビールを合わせる人が多いが、最近では食事をメインにしたリストランテやトラットリア、ピッツェリアなどでも、小規模ながら素材や行程にこだわったご当地クラフトビールをワイン感覚で楽しむスタイルが人気を集めている。
イタリアミラノで活躍する女性ソムリエに聞く
イタリア人は食事に対して日本人と同様に、美味しい食事を楽しみたいと言う情熱を人一倍持っています。近年では、イタリアでも日本食ブームは目を見張るものがありますが、彼らはどんなに高い日本食レストランでも本当に美味しい物であれば惜しまないところがあるんです。
そう言った意味で、ここイタリアでのクラフトビールブームの勢いは凄いものはあります。特に他の国とは違った発展をしているのは、ビール単体で楽しむのではなく、あくまでも食事と合わせて美味しく食するところです。
その中でも、私が今お店で一番おすすめしているのは「ビラフィット ミラノ」(BIRRIFICIO MILANO)と言う、飛行機の工場の跡地をブリュワリーにした、今ミラノで人気の高いクラフトビールです。
特に食通のミラノ人が通う生ハムとチーズの専門店(TAGLIO)では、店内に併設されているレストランで一緒に楽しめる生ハムやチーズとの相性は絶妙です。このお店では、本場でしか味わえない私のお気に入りのビールとのペアリングを楽むことが出来ます。
原田則枝 Norie Harada
シェフアランデュカスのもとでソムリエとしてパリ、 N.Y, 東京、 モンテカルロをまわる。モンテカルロでは、ジョエル ロブションがオープンした。YOSHI にてもソムリエ、 ダイニングマネージャーを務める。五年前にイタリア、 ミラノに降り立ち、イタリアの食、 文化に惚れ込み一年前にワインバーオープン。
Bottiglieria spartaco (ボッテェレエリア スパルタコ)
住所 via spartaco 11 milano 20135
Facebook : Bottiglieria spartaco
原田さんおすすめのブリュワリー&リストランテ
BIRRIFICIO MILANO(ビッリフィーチョ ミラノ)
住所:via Zante 14, 20138 Milano
http://www.birrificiomilano.com/
TAGLIO(タリオ)
住所:Via Vigevano, 10 – 20144 – Milano
イタリア料理との完璧なマリアージュを
日本でもおなじみの「パルメジャーノ」チーズや生ハム「プロシュット」の生産地パルマ。
ワインとともにDOP(原産地名称保護制度)で品質管理された最高級プロシュット「クラテッロジペッツロ」は有名ですが、そんな最高の食材を提供している美食の都でも、今郊外に多くのクラフトブリュワリーが誕生し、美食の街ならではの盛り上がりを見せている。
その中でも2006年にエミリア・ロマーニャ州パルマ近郊で立ち上げた、クラフトブリュワリーのデュカート醸造所(DUCATO)が造るビールは、イタリアワインと同様に、現地の料理と合わせて楽しむための究極のビールを造りだし、世界から注目されている。
彼らは、豊かな食文化に根ざした、イタリアならではの独創的で芸術的な感性で、イタリア料理と完璧なまでにマリアージュするビールを完成させ、世界のビールコンクールで数多くの賞を受賞し証明して見せた。
現在では、ニューヨークやロンドンなどのソムリエが、イタリア料理にワインではなく、イタリアンクラフトビールをおすすめするリストランテなどが増え、ここ日本でも人気を集めつつある。
Birrificio del Ducato (ビッリフィーチョ・デル・デュカート)
住所:43019 Soragna Strada Argine 43
http://www.birrificiodelducato.it/
VIAEMILIA (ヴィアエミリア)
花のような香りとわずかな苦味のハーモニーの味わいが世界を魅了する。デュカート代表的ビール。
新しいスタイルのイタリアクラフトビール
その他、新しいスタイルのイタリアクラフトビールも注目を集めている。中でも〝32 Via dei birrai〟のクラフトビールは、完全にワインとしてビールを楽しむために700 mlフルボトルで製品を提供している。コルクがアクセサリーになるパッケージデザインは、イタリアのファッションやデザイン系の国内誌において、「新世代のデザイナービール」と称されている。ミラノのセレブのみならずイタリア国内でも人気を集め、スタイリッシュなクラフトビールとして確立している。
またトリノ郊外にある2009年に成立した小さな醸造所ビリフィーチョ ローベルビアでは、今流行のバレルエイジをいち早く行い、樽熟成由来の豊潤なフレーバーとフルーティーで複雑な味わいで、話題を呼んでいる。元々ベルギービールの影響を受けて発展してきたイタリアクラフトビールは、ベルギービールをしのぐような豊かな味わいに昇華している。
今やドイツ、ベルギー、イギリス、アメリカなどのビール大国名に連ねるほどの存在となっている。
32 via dei birrai (ヴィア・デイ・ビッライ)
住所 Via Cal Lusent, 41, 31040 Pederobba TV
ADMIRAL(アドミラル)
ホップの味が強く残るスパイシーな軽めのビールで上面発酵させ、さらにボトル内で再発酵させています。
コリアンドロとホップがもたらす新鮮みが、オレンジの皮の感覚を満たします。
Birrificio Loverbeer(ビリフィーチョ・ローベルビア)
住所 Marentino Metropolitan City of Turin