20世紀末、アメリカでクラフトビールが成長し始めた頃、パブでビールを飲むグラスと言えばパイントグラスそれも「コニカル」または「シェイカーパイント」と呼ばれる安くて丈夫なグラスでした。
これは元々ボストンシェイカーの下部分であり、レストランでは水やソーダやアイスティーなどがこのグラスで出されます。日本でもさほど高級ではないレストランで水を入れるグラスは安くて丈夫なグラスであり、つまり「シェイカーパイント」はそんなランクのグラスなのです。
英国のパブでもパイントグラスが一般的ですが、形が違います。ジョッキのように取っ手の付いた「ディンプル マグ」や、途中に膨らみのある「ノニック」が一般的です。どちらのパイントグラスも容量は1パイントですが、アメリカのパイントと英国のパインとは違う単位です。USパイントは16オンス=473.176ml。英国のパイントはインペリアルパイントと呼ばれ20インペリアルオンス=568.29ml。
アメリカの瓶や缶ビールは11から13オンスくらいの主流なので、16オンスのパイントグラスは泡とビール一本分が無理無く収まります。
英国では瓶も缶も大きめ、440ml、500mlというのが一般的なので、568.29mlに収まります。英国では業務用のグラスには役所により認定されたグラスを使用する事になっていて、認定マークがグラスについています。数字は認定した役所または認定メーカーを示しています。
21世紀になってクラフトビールビジネスが成熟してくると「シェイカーパイント」は好ましくないグラスとされるようになります。
代わりにもてはやされるようになったのが、ステムのあるゴブレットです。