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éclade(エクラッド):フランス シャラント・マリティーム県が誇るムール貝郷土料理

秋から冬にかけてシーズンが来るムール貝。
牡蠣同様にRの付く月は避けた方が良いとも言われていますよね。
それでも、フランスではなぜか夏になると食べたくなるムール貝。
海辺の町に行くと、いわゆる「バケツムール」を食べている人をよく目にします。

バケツムールとは、バケツや鍋に入れられた、ムール貝の白ワイン蒸しのこと。
とても気楽な料理で、海を見ながら食べるムール貝は最高においしいです。
家でも、ムール貝を買ってきて簡単に作れるので、時々食べています。
ムール貝の掃除が大変ですが、掃除さえできればこちらのもの。
想像以上に簡単に作ることができます。

ここで突然ですが、少しだけ思い出話を……
ある日、義母から突然大量のムール貝の写真を見せられました。

真っ黒こげで一見するとムール貝とは思えない姿。
何かと尋ねると、「シャラントではムール貝をこのように食べる町があって、そこに行ってきたんだよ。とてもおいしかったから、一度は是非食べてみてほしい」とのこと。

その名も……『éclade(エクラッド/エクラード)』。

ムール貝を板の中心から放射線状に並べ、その上に沢山の松の葉をかぶせ、その松の葉を焼くことでできる、ムール貝の蒸し焼きのことです。

私の住んでいるコニャックの町には、このような食べ方ができるお店がないので、車で1時間ほどかかる「La Tremblade(ラ・トランブラード)」という大西洋にほど近い町まで行ってきました。

牡蠣小屋がたくさんあるこの町では、「éclade(エクラッド/エクラード)」が食べられるお店もいくつかあります。

ムール貝が好きな私。年に何度かムール貝を食べますが、このエクラッドは見た目に驚き、味にも驚きました。

閉じたままのムール貝に火が通って、殻の外側は真っ黒。炭になっています。思った以上に簡単に貝を開けることができ、中に見えるオレンジ色の身が食欲をそそります。

食べると驚く! ムール貝ってこんなにおいしかったのかと。

ソースはなしで貝をそのまま食べるのですが、甘味と旨味の凝縮感がとてつもない。

そして松の葉で焼くことによって得られる燻製香。

さらに、焼き加減が食べる場所によって様々なので、ふわっとした身のムール貝や、しっかり焼けたグリル香をしっかり感じるムール貝まで。

エクラッドはシャラント・マリティーム県が誇る素晴らしい郷土料理です。

今回はラ・トランブラードにお邪魔しましたが、オレロン島が最も有名。
大西洋に浮かび、フランスではコルシカ島に次いで大きなこの島では、牡蠣の養殖が盛んです。そしてバカンスで足を運ぶ人も多いこの島は夏の間、たくさんの観光客が訪れる魅力あふれる島です。

牡蠣とムール貝なんて、最高の組み合わせじゃないですか?

次回はもう少し足を伸ばしてオレロン島まで行こうと考えています。

海や牡蠣の養殖場を見ながら食べる郷土料理、エクラッド。ムール貝を並べるのが大変なので、事前に要予約のお店が多いですが、一度は食べてみてほしい料理の一つ。

お供はもちろん地元のワイン、ヴァン・ド・ペイ・シャランテで。

他の地域ではお目にかかれない、最高の食事が楽しめること間違いなしです!

この記事を書いた人

野田 祥子
野田 祥子https://sachiguide.wixsite.com/bordeaux-net
1990年大阪生まれ。大阪大学工学部を卒業後フランスへ。 フランス国家資格ソムリエや、アルコールに関する経営学資格を取得。 現在はボルドーとコニャック2つの街を行き来しながら、ワイナリー/メゾン訪問における通訳を中心に、試飲会での通訳等も行う。 フランスソムリエ協会ボルドー支部所属。
野田 祥子
野田 祥子https://sachiguide.wixsite.com/bordeaux-net
1990年大阪生まれ。大阪大学工学部を卒業後フランスへ。 フランス国家資格ソムリエや、アルコールに関する経営学資格を取得。 現在はボルドーとコニャック2つの街を行き来しながら、ワイナリー/メゾン訪問における通訳を中心に、試飲会での通訳等も行う。 フランスソムリエ協会ボルドー支部所属。