世の中の色を数値化するには、複数の数値で表します。色相(H)、彩度(S)、明度(B)や、Red、Green、Blueなどです。
色を三次元空間として考え(カラースペース、色空間と呼びます)その座標値で表すのが一般的です。
したがって、世の中の色を表す規格はほぼ3つの数値からなります。
ビールの色の単位はSRMという単位が一般的ですが、これは、1つの数値で色を表します。
つまり一次元です。なぜそうなっているのでしょう?
そもそもビールの色は何で決まるのでしょうか?
基本的にビールの色は、材料の色です。ラズベリーのようなフルーツを使ったりするものは別として、使用されているモルトの色がビールの色です。
ご存知のように、ウイスキーの材料でもあるモルトは発芽させた麦を乾燥させたものです。乾燥時に熱が加わります。糖とアミノ酸やタンパク質を加熱すると、茶色の色素を作る反応が起こります。
これはメイラード反応と言われ、肉、魚、パン、ご飯などの茶色のこげ、食パンの耳、コーヒー豆やカカオ豆の茶色などはすべてメイラード反応によるものです。
時間さえかければ常温でも反応は進行します。味噌の色が濃くなったり、日本酒が黄色っぽくなるのもメイラード反応です。
モルトを乾燥させる時にもメイラード反応が起こり、見た目では分からない程度からほとんど黒に近い色まで、なんにせよ茶色になります。
というわけで、ビールの色はゴールド、アンバー、ブラウン、黒と「なんにせよ茶色」で、その濃度を数値化するだけで、ビールの色を表せるのです。
ちなみに、現代の醸造スタイルではとても色の薄いモルトに少量の色のついたモルトを使って色を自由にコントロールします。