よく見るギネスの缶は330mlです。
でも、他の330ml缶ビールより背が高くなっています。なぜでしょう?
ギネスやマーフィーズといったアイルランドのスタウトや、ボディントンズのような英国の缶ビールにはウイジェットと呼ばれる窒素の入ったカプセルが入っていて、ふるとカラコロ音がします。このウイジェット分、普通のビールより缶が大きくなり、背が高くなっているのです。
これらのビールはみんな低炭酸のビールで、普通に注いできれいな泡を造る事は困難です。まあ、泡があろうが無かろうが、ビール自体の味は変わらないので、私個人としては無くても良いのですが、ビールメーカーとしてはきれいな泡で見た目を良くしたいと言う願望があります。
仕組みはこうです。
缶を造る時にウイジェットとほんのすこしの液体窒素を入れてふたをします。これで缶の内部の圧力が上がり、ウイジェットの中に少量のビールが入ります。缶を開けると、一気に減圧され、ウイジェット内部の窒素ガスが吹き出します。これを形成核として、細かい泡が大量発生します。
ウイジェットは1968年ギネス社によって発明され、翌年英国で特許を取得します。このときは、缶自体に窒素ガスの部屋を形成しようとしましたが、当時のテクノロジーでは難しく、実用化前に特許が失効してしまいました。
1984年ギネスはプロジェクトを再スタート。今度はプラスチックの窒素ガス容器で実現します。開発当初インサーツという名前だったガス容器は、スタッフがみんなそう呼んでいたウイジェットと改名され、1988年最初のウイジェット缶が発売されます。当時のウイジェットは缶の底に固定されていました。
1997年、缶の底に固定しなくても、ただ缶詰時にほおり込めば良いフローティングウイジェットが開発されました。