今回はスロバキアの伝統蒸留酒について。
ジンが世界中でムーブメントなのは周知の事実だ。ジンの主原料はジュニパーベリー。ジュニパーベリーの歴史は長い。
ジンという固有名詞が有名だが、ジュニパーベリーを使用した酒類の名称は他にもたくさんある。
主に中欧・スロバキアを中心とした地方で「Borovickaボロビチカ」というジュニパーブランデーがある。ジンと何が違うのか? ボロビチカはジュニパーベリー単体の蒸留酒だ。
嗜好品としてのボロビチカの製造は、スロバキアで1800年代の中頃には始まっていたといわれている。ボロビチカの始まりは薬。薬効のあるジュニパーオイルを水蒸気蒸留法で抽出する際(500kgのジュニパーベリーで、1kgのジュニパーオイルが生成可能)、副産物にアルコールを混ぜ製品化するのがボロビチカ。
現在もボロビチカの製造プロセスに対して細かい法定基準はない。そのおかげで長らくの間、人工香料などを使用した安酒としての認識が高く、私が昨年スロバキアを訪れた際も、若者はクラブのパーティーでショットにて飲むのだが、苦い思い出があるのか敬遠しがちな存在に成り下がっている。
だが昨今、スロバキアでは国を代表する国酒であるボロビチカの地位向上を目指し、そのおかげで高品質のボロビチカを造る生産者が増え始めている。
現代においてはジュニパーベリーから発酵させたもの、ジンのように浸漬させて蒸留したものなど、プロセスにおいては様々だが、ジュニパーブランデーとしてのカテゴリーを皆様に知ってもらいたい。 因みに毎年6月24日はスロバキアで行われる国際ジュニパーブランデー・デーである。