お酒の最古の記録
非常に高い可能性で、人類最古のアルコール飲料はハチミツの醸造酒ミードです。
最古の記録は、ビールが紀元前4000年のメソポタミア。ワインは紀元前3000年です。しかし、ぶどうや麦の栽培はさらに遥かに古くから行われています。ハチミツは人類に進化する前から食べられていたはずです。ハチミツの収集とその使用の記録は洞窟の壁画に見られます。バレンシアの近くの洞窟画では、旧石器時代にハチミツを採取していたかもしれない事を示しています。
インドのリーグヴェーダの神々の飲み物ソーマや、ギリシャ神話の神々の飲み物・食べ物のアンブロシア、ネクターはミードのような飲み物だという説があります。多くの北欧神話にもミードは登場し、古代スカンジナビアでミードが造られていたことがわかります。
ミードのルーツと発展
ミードは、ただ一つのルーツがある訳ではなく、世界の異文化によって並行して開発されたという事が想像されます。
ミードはキリスト誕生前後の世紀では非常に高い支持を受けていました。この時期のミードやワインの評価は甘い事で「ハチミツのように甘い」が最高の評価でした。旧石器時代からローマ帝国の時代まで、ヨーロッパと中近東において甘味料はハチミツしかありませんでした。
中世以降、貿易の拡大とテクノロジーの進化でミードの競争相手が数多く登場します。13世紀には砂糖とフレンチワインと地中海ワインは北ヨーロッパ全域で取引されていました。15世紀にはフレンチ、スパニッシュ、イタリアン、ジャーマンワインの品質が向上し、ミードとの直接的な競合であるデザートワインも可能になりました。さらに、ビールでホップの使用が一般的になり劇的に品質が安定。また蒸留酒も登場します。
ただ、アフリカやポーランドや旧ソビエトのヨーロッパ部分はこのような影響を受けませんでした。そして、どの国でもミードが完全に消えた事はほぼありません。現在、アメリカではクラフト「なんとか」の流行のため、ミードが急激に増加しています。
ミードのバリエーション
ミードには、ハチミツと水とイーストの栄養剤のみで造られる「ショウミード」以外に数多くのバリエーションがあり、それにともなって名前が変わります。
スパイスやハーブが入ると「メセグリン」、フルーツが入ると「メロメル」、りんごの場合は「サイザー」、ぶどうの場合は「パイメント」となります。麦芽を使ったものは「ブラゴット」、チリペッパーの入ったものが「カプシクメル」など、他にもとても多くの名称があり、今でも増え続けています。
現在盛んに生産されている国は、アメリカ、英国、ポーランドなどで、実際に日本に輸入されて販売されていますが、酒屋で見かけませんよね。その量が少なすぎて通販でないと、なかなか買えないのです。
では、国産は?
日本では(輸入品でも)ハチミツが非常に高額なため、かなりレアですが造られています。まだミードを飲んだことのない人はぜひ一度お試しください。