先日パリへ行った。ジンと言えばイギリスという点に異論を挟む人は多く無いと思うが、実はイギリスでジンが根付くにはフランスが大きな役割を果たしていたことをご存知だろうか。
イングランドでジンが流行したのは1689年にオランダのオレンジ公ウィリアムIII世がオランダ統領を兼ねたままイングランド国王となったのが一つのきっかけだった。オランダ統領が国王となったことでオランダで人気のジンはイングランドでも人気となった。実はそれだけではない。当時フランスではカトリックであったルイ14世が絶対王政を推し進めており、プロテスタントのウィリアム率いるオランダは敵対を強めていた。ウィリアムは対決姿勢を強めるためにイングランドでもフランスからのブランデーの輸入を禁止し、その後軍事費捻出のためにブランデーに高い関税をかけて輸入を再開した。さらなる軍事費捻出のために国内での蒸溜産業、特にジンの蒸溜活性化を目指した。
ジンの関税を大幅に軽減し、当時リヴァリカンパニーによって独占されていた蒸溜産業を解放することで誰もが蒸溜産業に加われるようにした。これにより非常に安い賃金しか得られなかった労働者たちもジンに気軽に手を出せるようになったことで、イングランドではジンがさらに消費されていくことになった。
ジンの馴染みのないフランスもその発展に寄与していたのだ。