History in a glass No17
スワロフスキー シャンパーニュグラス
オーストリアの老舗クリスタルブランド、スワロフスキー(SWAROVSKI) は1895年に創業し、「誰もが手にできるダイアモンド」をビジョンに、ラグジュアリーな世界観を展開している。数々の有名建築物の装飾品やアクセサリー、オブジェ、文具に至るまで、その商品構成の幅は広い。しかしながらグラスのラインナップは少なく、代表的なグラスは透明な空洞のステムにぎっしりとクリスタルを閉じ込めているという特徴的なもの。ワイングラスとシャンパーニュグラスがあり、ひときわ鮮やかな光を放っている。装飾されたグラスステムの中では最も美しいといえるのではないだろうか。
グラスを支えるフットの部分上部は重厚で、幾重にもカットが施されており、光に照らすと万華鏡のような影を映し出す。
驚いたのはグラス底が真っ平である事。カットの技術が巧みであるが故、平らすぎるグラスを大理石などの上に置くと離れなくなるという現象が起こる。今では底に3つの小さな突起物を付け、わずかに浮かせて接地させない工夫がなされている。
華麗な様式美ではあるが、ステム、フットが異様に重く、ワインやシャンパーニュを満たした状態だといささか飲み辛い。使い勝手と美しさは別物だと思い知らされる。
私の店では誕生日をシャンパーニュでお祝いされる方にこのグラスでお出ししている。特別な一日には特別なグラスでおもてなしをしたいと日々思う。