現在スコットランドでは、蒸溜所の建設ラッシュだ。まだ計画進行中だが、期待が大きい3つの蒸溜所を紹介したい。
アードナホー蒸溜所 Ardnahoe
計画を進めているのは、グラスゴーに本拠を構えるハンターレイン社。同社はOMC(オールドモルトカスク)シリーズや、オールド&レアセレクションなどのシングルモルトを販売する、インディペンデントボトラーとしても知られる。
建設予定地は、アイラ島のカリラ蒸溜所とブナハーブン蒸溜所の中間あたりにあるアードナホー湖のほとりで、仕込み水は湖から引く予定だという。
ラーセイ蒸溜所 Raasay
ラーセイ島での蒸溜所創業を計画しているのは、エディンバラに本社をおくR&B・ディスティラーズ社。同社は、アレスデア・デイさんとビル・ドビーさんが昨年共同で立ち上げたウイスキーメーカーだ。アレスデアさんの曾祖父リチャード・デイ氏は、19世紀にスコティッシュ・ボーダーズ州のコールドストリームでウイスキーのブレンダーをしていたという。
当時リチャード・デイ氏のつくったブレンデッドウイスキーのひとつ、「ツイードデール」は、残されていた製法をもとにアレスデアさんがリメイクし、2010年よりストーンデール社から販売されている。
ホリールード・パーク蒸溜所 Holyrood Park
スコットランドの首都エディンバラでも、新蒸溜所の計画が進んでいる。その陣頭指揮をとるのが、デイヴィッド・ロバートソン氏だ。
ロバートソン氏は元マッカラン蒸溜所のマネージャーで、イージドリンクスウイスキー社の創業者でもあったひと。今日エディンバラは文化・芸術・学問の都として知られるが、かつてはウイスキー産業で栄えた町でもあった。1777年の記録には、「公認蒸溜所が8、密造蒸溜所が400」と記されている。
1877年に初めてのブレンデッドウイスキーをつくったアンドリュー・アッシャーも、エディンバラを本拠地としていた。しかし、現在エディンバラにはモルトウイスキーの蒸溜所は一つもなく、新しい蒸溜所が誕生すれば実に90年ぶりとなる。