History in a glass No11
バカラ アルクール
バカラを代表するモデル「アルクール」は1841年からリリースされており、当時のほぼ原形のまま今に至る。これだけの長い間、デザインが変わらないのは稀である。六面にカットされたクリスタルグラスの美しさが人を魅了し続けているからだろうか。
アルクールの名の由来は、フランス・ノルマンディーの貴族アルクール公爵が婚礼の為にバカラに依頼されたとある。婚礼に使われる、デキャンタ、水差し、ワイングラス、タンブラー、蓋つきのカップ等、多岐に渡るすべてを請け負った。のちに一般に売り出されたアルクールもそのラインナップがカタログに載っている。
現在、このデザインは世界の王族や貴族から愛され、公式の晩餐会やローマ法皇によるバチカンでの使用もされている。
先日、アルクールのアンティークグラスを大量入荷したと連絡があり、原宿の骨董店を訪ねた。(オールドバカラには偽物も多く、信頼のおける場所で購入する必要がある)。
気になるグラスはシャンパンクープ。やや大振りで、重量もある。1920年頃のグラスだそうだ。(写真右)。本来、まとめてしか売ってくれない品だったが、ご厚意で一脚だけ譲ってもらえた。アンティークではあるが、現在のグラスと遜色がない、値段も今売られているバカラとあまり変わらないのが掘り出し物の良さである。
シャンパングラスではあるが、カクテルグラスとして使用しており、カットの屈折度が液体をより引き立たせる。
バカラらしい重厚感を感じさせてくれるのはこのグラスであろう。