History in a glass No3
英国アンティーク コックテイルグラス
「カクテル」の由来には諸説あるが、「雄鶏の尾」という意味に変わりはない。
1920年代からロンドンでカクテルブームが起こり、その当時英国で作られたカクテルグラスやピッチャー、ミキシンググラスの中に鶏の絵がたくさん描かれるようになった。
エナメル彩を施し、チャーミングな鶏の絵がグラスに踊る。伊藤若冲の群鶏図のような緻密な絵もあれば、稚拙な絵もあり、それはそれで愛嬌があり様々な鶏を愛でているのは楽しいものだ。
このグラス、骨董市にてたまに見かけることもあるが、結構な人気で出しておくとすぐに売れてしまうと聞いた。カクテルグラスがほとんどなので、この「コックテイルグラス」を集めているバーマンもいるようである。
現代の作品でも鶏が描かれたグラスがある。絵付け作家の本郷裕一郎さんの作品は、まるで生きているかの様な写実的な世界をグラスに焼き付けている。現在入手は困難とのこと、どこかのバーで見かけられたら幸運だろう。
無機質なグラスの中に絵を入れることによって芽吹く命もあるようで、実際に鶏が描かれたグラスは特に大切に扱うようにする。もし割れてしまったら、損なうのはグラスだけではないような気がしてしまうからだ。
写真のグラスは、京都のグラス専門のアンティークショップで購入した。コレクションの一つで、背の高いコックテイルグラスは珍しい希少な品だ。