「ブランデー」と聞いて、まず皆さんが思いつくのはコニャックでしょうか?コニャックはフランスが世界に誇るブランデーです。熟成100年を超えるような甘美な蒸溜酒はほかにありません。しかしそれ以外にもフランスでは素晴らしいブランデーがいろいろと造られています。
フランスには農業製品の品質保証制度である原産地呼称制度AOCがあります。これは製造過程や品質評価へ様々な条件を課し、それをクリアしたものに付与される品質保証です。ワインやチーズが有名ですが、ブランデーでも3種類規定されています。コニャック、アルマニャック、カルバドスがそれにあたります。
コニャックはフランス南西部・ワインの銘醸地ボルドーの北側に、アルマニャックはボルドーの南東部に位置し、ともに決められたブドウ品種を原料として造られています。カルバドスはフランス北西部ノルマンディ地方で、こちらも定められたリンゴや洋ナシを原料として造られています。原料のほかにも、醸造方法や蒸溜方法、熟成方法など細かく規定がなされていて、これによりその品質が守られています。
これらのブランデー以外にもフランスでは多くのブランデーが造られています。AOCであるコニャックやアルマニャックよりも緩い規格のグレープブランデーは一般にフレンチブランデーと呼ばれ、コニャックなどよりもより多く造られ、フランス国内でよく飲まれています。
日本にはあまり入ってきていませんが、カルバドス以外のアップルフランデーも多く造られ、マール(Marc)というワインの搾りかすから造るブランデーもあります。イタリアではグラッパと(Grappa)呼ばれているものですね。ワインの産地ではどこでも造られており、フランスではブルゴーニュやアルザス、シャンパーニュなどで特に上質なものが造られています。これとペアでフィーヌ(Fine)を造っているメーカーも多くあります。これはワインを蒸留したもので通常のグレープブランデーとほぼ同じですが、特別に規定されているものです。