『アーリーランデット(Early-Landed)』と呼ばれるコニャックがあります。
このアーリーランデット・コニャックとは、樽詰めされたばかりのコニャックをフランスのコニャック地方から船積みし、イギリスの波止場の倉庫で熟成させたコニャックの事を指します。
イギリスとコニャックは切っても切れない関係にあり、コニャックが大きな評価を得るようになったのもイギリスがあってこそと言っても過言ではないのかもしれません。アーリーランデットの歴史を遡る事1840年代、イギリスでコニャックは大変な人気を誇っていました。当時のイギリス首相であったロバート・ピール首相がコニャックにかかる関税をそれまでの3分の1に下げたことが大きく寄与したと言われています。この頃のイギリスでは、この「アーリーランデット」方式が一般的でした。さらに1860年代にもコニャックに対する減税措置が取られ、その6年間後にはイギリスへのコニャック出荷量が倍以上になったそうです。
日本でも有名処といえば、ハインやデラマンのアーリーランデット・コニャックでしょう。特にハインはイギリスとの関わりも強く、50年以上にわたりイギリス王室にコニャックを提供し続けています。19世紀よりハインは蒸留したコニャックの中から少量をイギリス南西部の港であるブリストルへ運び出し熟成へと進めます。このイギリスでの熟成環境は、年間気温が低く、湿度が高く保たれているため、水よりもアルコールの蒸発が速く、より軽やかでフローラルな香りとなるのが特徴的です。 コニャック地方で熟成されるコニャックとは、また違った風味をヨーロッパの歴史と共に楽しんでみてはいかがでしょうか。