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魅惑のブランデー~オリの効果・モルトウイスキーとの共通点~

今回は、コニャックの造りの中で酒質を決めるポイントのひとつについて、お話しさせていただきます。蒸溜するワイン(モロミ)の濁り具合についてです。

この濁りは、ワインの果肉や果皮などによるオリです。多くの蒸溜所ではフィルターリングすることでこのオリを取り除く、つまり清澄度を上げてから蒸溜をしています。この場合、クリアな香味の留液が得られる傾向にあります。熟成に使う樽材も、それに合わせて成分抽出が控えめなトロンセを使うことが多いようです。代表的な造り手としてはマーテルがあり、英国人好みの味わいと言われています。

一方、オリを残して蒸溜する造り手としては、レミー・マルタンやフラパンなどがあります。オリがあると焦げやすくなってしまうため、蒸溜に手間と時間がかかりますが、香味はよりふくよかでリッチな留液となります。この場合は樽材としてリムーザンを使うことが多いようです。

先述のとおり、オリはワインの果皮や果肉などですので、その中には多くの香味成分が含まれています。ワインの搾りかすやオリを主体に造るマールやグラッパを飲むと感じる、ふくよかで独特な香味からも理解できると思います。

同様のことがモルトウイスキーでも言えます。麦汁の濁り具合ですね。清澄麦汁だとすっきりと華やかな留液が得られ、濁りのある麦汁では重厚な酒質の留液になります。とはいえ、完全に透き通った麦汁では、ペランペランな酒質になってしまうので、ほどよい濁り具合がよいようです。

モルトウイスキーとコニャック、大麦とブドウという全く異なる原料から造られる蒸留酒なのに、いろいろと共通点があり興味が尽きません!

この記事を書いた人

谷嶋 元宏
谷嶋 元宏https://shuiku.jp/
1966年京都府生まれ。早稲田大学理工学部在学中よりカクテルや日本酒、モルトウイスキーに興味を持ち、バーや酒屋、蒸留所などを巡る。化粧品メーカー研究員、高校教員を経て、東京・神楽坂にバー「Fingal」を開店。2016年、日本の洋酒文化・バーライフの普及・啓蒙を推進する「酒育の会」を設立、現在に至る。JSA日本ソムリエ協会認定ソムリエ。
谷嶋 元宏
谷嶋 元宏https://shuiku.jp/
1966年京都府生まれ。早稲田大学理工学部在学中よりカクテルや日本酒、モルトウイスキーに興味を持ち、バーや酒屋、蒸留所などを巡る。化粧品メーカー研究員、高校教員を経て、東京・神楽坂にバー「Fingal」を開店。2016年、日本の洋酒文化・バーライフの普及・啓蒙を推進する「酒育の会」を設立、現在に至る。JSA日本ソムリエ協会認定ソムリエ。