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歴史はグラスに注がれる No6

History in a glass No6

このグラスを手にするまで、アメリカでクリスタルグラスが製造されて、人気を博していたという事を知らずにいた。

「クリスタルグラスはヨーロッパで製造されるもの」という先入観があったからだ。 Fostoria Glass社は1887年にアメリカ・オハイオ州で創業されたガラスメーカー。

グラスの他にプレート、ランプ、ピッチャー、オブジェ、燭台に至るまでテーブルウェアを全般的に取り扱っていた。

現在は存在しない会社なので、これらを手に入れるにはアメリカのアンティークショップやオークション等でしかないだろう。

アメリカでは「デプレッショングラス」と「エレガントグラス」と呼ばれるものがある。それは1929年のニューヨーク証券取引所の株の大暴落(暗黒の木曜日)の影響を受けて、アメリカは大恐慌時代に陥り、物価が下落すると共に大量生産が可能な製品が数多く出回り始めた。

グラスも例外ではなく、機械で量産されたものを「Depresson Glass大恐慌グラス」と呼ばれ、細かい手作業を施したものを「Elegant Glassエレガントグラス」と呼び区別するようになった。いずれもこの年代に付けられた名称だ。

写真のグラスはアメリカ滞在から戻られた、素敵な御夫婦にお土産として譲り受けた物でとても大切にしている。

アメリカでは「エステートセール」という邸宅の引っ越しに伴い、家財を整理するセールがあるそうだ。そこでこのグラスとも出会えたとの事。ちょっとしたロマンスだ。 ちなみにこのグラスのパターン名も「ロマンス」、出来過ぎであろうか。

この記事を書いた人

鈴木 裕介
鈴木 裕介https://blogs.yahoo.co.jp/bar_salvador2005
1975年宮城県生まれ。都内ワインバー、ウイスキーバー店長を経て2005年より東京・ 高田馬場「Bar salvador」オーナーバーテンダー。ウイスキーに興味を持ち、各地の蒸留所を巡るかたわら、骨董店にてヨーロッパアンティークグラスを集める。HOYAクリスタ ルの蒐集家でもある。
鈴木 裕介
鈴木 裕介https://blogs.yahoo.co.jp/bar_salvador2005
1975年宮城県生まれ。都内ワインバー、ウイスキーバー店長を経て2005年より東京・ 高田馬場「Bar salvador」オーナーバーテンダー。ウイスキーに興味を持ち、各地の蒸留所を巡るかたわら、骨董店にてヨーロッパアンティークグラスを集める。HOYAクリスタ ルの蒐集家でもある。