ウイスキーのテイスティングために、日ごろ心がけていることについて少し話してみたい。私個人の経験則ではあるが、参考にしていただけたら幸いだ。
もっとも大切なことは、体調の管理と把握だ。テイスティング前には、睡眠を十分にとることが望ましい。睡眠不足は嗅覚や味覚を鈍らせる。また二日酔いのときにテイスティングしようなどとは考えないだろうが、酒が身体に残っているときも正確なテイスティングはできない。
体調が思わしくないときは、テイスティングはしないに限る。だが「どうしても」という場合は、少しモードを変えるといい。まったくアロマが拾えないときは、強引に回収しにいこう。穀物の香り(原料)、果実の香り(エステル系)、草花の香り(アルデヒド系)、スパイス・ハーブ系の香り、ピートやスモークの香り等、テーマを絞って拾いにいく。
次のステップとして、更に具体的に絞るのも一案だ。例えばオレンジやマーマレード、あるいはバニラ、蜂蜜、チョコレート、草花などなど。スパイスなら胡椒、シナモン、クローブ、ナツメグなどは感じられないだろうか? なおこの方法は、ウイスキーの香りが開いていないときにも使える。もしくはアルコール度数が強すぎて、アロマがとりづらいときも同様だ。
嗅覚は午前中の方が鋭敏なようだが、個人差はあるかと思う。私の場合起床後、2〜3時間経ったあたりが理想だ。朝食は早めにとり、食後1時間ほどは開けたい。喫煙者は、テイスティングが終わるまで吸うのを我慢。歯磨きはいいが、歯磨き粉を使わない素磨きがいい。
また、欠点ばかりを探さないテイスティングをお勧めしたい。完全無欠なウイスキーなんてないと考えるべきで、あら探しをすればいくらでもあるもの。なるべく、いい部分に着目した方が前向きだし、そうすることが生産者に対する礼儀でもある。
私のテイスティング方法は、あくまでも我流だ。皆さんもぜひ、ご自身に合ったテイスティング方法を見つけていただけたらと思う。